うつ病時の自宅での過ごし方|回復を妨げない生活の工夫と注意点
うつ病と診断されたあと、あるいは治療を続ける中で、「自宅での過ごし方がわからない」と感じる方は少なくありません。
しかし、うつ病の回復においては、無理に活動量を増やすことよりも、症状を悪化させない過ごし方を選ぶことが大切です。
この記事では、朝・日中・夜といった時間帯ごとの工夫や、一人暮らし・家族と暮らしている場合の考え方など、日常生活の中で無理なく取り入れられるポイントを紹介します。
うつ病のときの「自宅での過ごし方」が重要な理由とは
うつ病の療養中は、「早く元の生活に戻らなければ」「何か行動しないといけない」という気持ちが強くなりがちです。
しかし、気力や集中力が低下している状態で無理な行動を続けると、心身の消耗が進み、かえって回復を遅らせてしまうことがあります。自分では「少し頑張っただけ」と感じていても、うつ病の状態ではその負荷が想像以上に大きくなることも少なくありません。
自宅での時間は、心と体を休めるための重要な療養の場でもあり、過ごし方次第で回復の土台を整えることにつながります。
うつ病の時期には「何もしないこと」や「休むこと」自体が、回復のために必要な過ごし方になる場合もあるでしょう。横になって過ごす、特に目的のない時間を持つといった行為も、怠けではなく、心と体を守るための選択です。自宅での過ごし方は、治療を補助する生活面の土台であり、無理をしない環境を整えることが回復を支える大切な要素になります。
うつ病時の自宅での過ごし方の基本
うつ病のときの自宅での過ごし方には、「こうすれば必ずよくなる」という正解はありません。インターネットや周囲の助言を参考にする中で、「理想的な生活」を思い描いてしまうこともありますが、その理想を基準にすると、できない自分を責める材料になりやすくなります。まず大切なのは、正解を探そうとしないことです。
- 「頑張らない」を前提にする
- 調子の波があることを前提に考える
- できない日があっても問題ない
本項目では、これらのポイントを詳しく解説します。
「頑張らない」を前提にする
うつ病のときは、「少しでも頑張らなければ」という意識が心身の負担になりやすい状態です。自宅での過ごし方を考える際には、最初から「頑張らない」を前提に置くことが重要です。何かを成し遂げることや、生産性を意識する必要はありません。
できることがあれば行う、できなければ休むという柔軟な姿勢が、結果的に回復を妨げにくい過ごし方につながります。
調子の波があることを前提に考える
うつ病の症状は一日ごと、時間帯ごとに変化することがあります。調子のよい時間があっても、それが続かないことは珍しくありません。そのため、自宅での過ごし方を固定的に決めるのではなく、「今日はどの程度動けそうか」を基準に考えることが大切です。
調子が落ちたときに計画を変更できる余地を残しておくことで、自分を追い込まずに過ごしやすくなります。
できない日があっても問題ない
何もできない日が続くと、「このままでいいのだろうか」と不安になることがあります。しかし、できない日があること自体は異常ではなく、うつ病の経過の中では自然なことです。自宅で過ごす時間に意味を見出そうとしなくても構いません。
何もできなかった一日も、回復を妨げているわけではなく、心と体を休ませる時間として必要だったと捉えることが、長期的な回復につながります。
朝編|うつ病時の自宅での過ごし方
うつ病のとき、朝は一日の中でも特につらさを感じやすい時間帯です。朝は調子が悪くなる前提で、自宅での過ごし方を考えることが大切です。
- 起きられない日は無理に起きなくていい
- 朝に「最低限」でいい行動を決めておく
- 朝日や明るさを少しだけ取り入れる
- 朝の体調を基準に一日の過ごし方を決める
本項目では、これらのポイントを詳しく見ていきましょう。
起きられない日は無理に起きなくていい
起きられない朝に、無理に行動を始めようとする必要はありません。うつ病の状態では、睡眠時間が足りていても体が休息を求めていることがあります。布団から出られない自分を責めるよりも、「今日は起きる力が足りない日」と受け止めることが重要です。
朝から無理をすると、その後の時間帯で一気に疲れが出てしまうこともあるため、起きられない朝は休息を優先する選択も、自宅での過ごし方の一つになります。
朝に「最低限」でいい行動を決めておく
朝の過ごし方は、「これだけできれば十分」という最低限の行動を一つ決めておくと、気持ちの負担を減らしやすくなります。
たとえば、起きたらカーテンを少し開ける、顔を洗う、コップ一杯の水を飲むなど、体を目覚めさせる簡単な行動で構いません。複数のことをやろうとすると、それだけで気力を消耗してしまいます。自宅での朝は、何か一つできれば十分だと考えることが大切です。
朝日や明るさを少しだけ取り入れる
朝の時間帯に、強い刺激を与える必要はありませんが、少しだけ明るさを取り入れることで、体内のリズムを緩やかに整える助けになります。カーテンを全開にできなくても、隙間から光を入れる程度で問題ありません。
外に出る余裕がない場合でも、室内を少し明るくするだけで十分です。朝日を「しっかり浴びなければならない」と考えず、負担にならない範囲で取り入れる意識が、自宅での過ごし方として適しています。
朝の体調を基準に一日の過ごし方を決める
うつ病のときは、朝の体調がその日の過ごし方を考える一つの目安になります。起きてすぐに強い疲労感や不安がある日は、活動量を抑え、休息を中心に過ごす選択も必要です。
反対に、少し余裕があると感じる日は、短時間の行動を取り入れても構いません。前日に立てた予定に縛られず、朝の状態を基準に一日を組み立て直すことで、無理のない自宅療養につながります。
日中編|うつ病時の自宅での過ごし方
うつ病の療養中、日中の時間は「何かしなければいけない」と感じやすい一方で、実際には気力や集中力が続きにくい時間帯でもあります。
本項目では、これらのポイントを詳しく見ていきましょう。
- 横になる時間が長くても自分を責めない
- 短時間で終わる軽い行動を取り入れる
- 何もしない時間と動く時間を分けて考える
- 集中を必要としない過ごし方を選ぶ
日中は回復を急ぐ時間ではなく、心身の消耗を増やさないことを重視して過ごすことが大切です。
横になる時間が長くても自分を責めない
日中に横になって過ごす時間が長くなると、「怠けているのではないか」「何もしていない」と自分を責めてしまうことがあります。しかし、うつ病の状態では、体を起こしているだけでも大きな負担になる場合があります。横になっている時間は、心と体を休ませるために必要な時間であり、回復を妨げるものではありません。自宅での過ごし方として、横になることを「悪いこと」と考えない姿勢が重要です。
短時間で終わる軽い行動を取り入れる
日中に何か行動を取り入れたい場合は、短時間で終わる軽い行動にとどめることが大切です。たとえば、数分だけ立ち上がる、簡単な身の回りの整理をする、窓を開けて空気を入れ替えるといった程度で十分です。長時間の作業や成果を求める行動は、途中で疲れてしまい、自己否定につながりやすくなります。
自宅での過ごし方は、「すぐ終わる」「途中でやめられる」行動を選ぶことが負担を減らします。
何もしない時間と動く時間を分けて考える
一日を通して「ずっと何もしない」か「ずっと動く」かの二択で考える必要はありません。自宅での過ごし方として、何もしない時間と、少し動く時間を意識的に分けて考えると、気持ちが楽になることがあるでしょう。横になる時間が長くなっても、「あとで少しだけ動く時間を取れたら十分」と考えることで、自分を責めにくくなります。動く時間が取れなかった日があっても問題はありません。
集中を必要としない過ごし方を選ぶ
日中は、集中力を必要とする作業や判断が求められる行動を避け、負担の少ない過ごし方を選ぶことが大切です。テレビや音楽を流す、ぼんやりと窓の外を見るなど、頭を使いすぎない時間を意識的に取り入れることで、心身の疲労を抑えやすくなります。
また、途中で体調が落ちたと感じた場合は、無理に続けず、その時点でやめる判断をすることも重要です。やめることは後退ではなく、自宅療養を続けるための適切な選択といえます。
夜編|うつ病時の自宅での過ごし方
うつ病のとき、夜は不安や考えごとが強くなりやすく、「眠れないこと」そのものが大きなストレスになる時間帯です。しかし、眠れないからといって、それが回復を妨げているとは限りません。
夜は「しっかり眠ること」よりも、「心身への刺激を減らし、体を休める時間」と捉えることで、気持ちが楽になりやすくなります。
- 夜遅くのスマホやPC操作を控える
- 寝る直前に考えごとを増やさないようにする
- 眠れなくても横になって体を休める
- 夜に不安が強くなる前提で過ごし方を整える
本項目では、これらのポイントについて詳しく見ていきましょう。
夜遅くのスマホやPC操作を控える
夜遅い時間帯にスマホやPCを使い続けると、画面の光や情報の多さによって脳が覚醒しやすくなります。特に、SNSやニュース、仕事に関する情報は、無意識のうちに不安や焦りを強めてしまうこともあるでしょう。夜の時間帯は、できるだけ刺激の少ない過ごし方を選ぶことが大切です。完全にやめる必要はありませんが、時間を区切る、寝る直前は操作しないといった工夫が、自宅での夜の過ごし方として有効です。
寝る直前に考えごとを増やさないようにする
夜になると、日中に感じた不安や後悔、将来への心配が頭に浮かびやすくなります。この時間帯に深く考え込もうとすると、気持ちが落ち込み、眠れなくなる原因になることもあります。夜は問題を解決する時間ではないと考え、考えごとが出てきた場合は「今は考えない」と一度区切る姿勢が重要です。自宅での夜は、頭を休ませる時間として扱うことが、心身の負担を減らします。
眠れなくても横になって体を休める
布団に入っても眠れないと、「眠れない自分はだめだ」と感じてしまうこともあるかもしれません。無理に眠ろうとすると緊張が高まり、かえって眠りから遠ざかることもあります。しかし、眠れていなくても横になって目を閉じ、体を休めることには意味があります。
自宅での夜の過ごし方として、「眠れなくても休めていれば十分」と考えることで、気持ちが落ち着きやすくなります。
不眠の症状にお悩みの方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
『不眠症を改善するために自宅でできる方法とは?』
『不眠症とは?原因や治療法・自分でできる治し方をわかりやすく紹介』
夜に不安が強くなる前提で過ごし方を整える
うつ病の症状として、夜になると不安や孤独感が強くなることは珍しくありません。そのため、夜はつらくなりやすい時間帯だとあらかじめ理解し、無理な予定や刺激の多い行動を避けることが大切です。
不安が出てきたときに慌てないよう、静かに過ごせる環境を整えておくことで、気持ちの揺れを受け止めやすくなるでしょう。夜の過ごし方を「整えておく」こと自体が、自宅療養を支える工夫になります。
家族と暮らしている場合の自宅での過ごし方
家族と一緒に暮らしていると、孤独を感じにくい反面、人との関わりそのものが負担になることもあります。うつ病の療養中は、「家族がいるから大丈夫」と考えるのではなく、家族がいる環境の中でどう自分を守るかという視点で過ごし方を考えることが重要です。
- 一人になれる時間と空間を確保する
- 家族に期待しすぎない・抱え込まない
- 伝えられる範囲で状態を共有する
本項目では、これらのポイントについて詳しく見ていきましょう。
一人になれる時間と空間を確保する
家族と暮らしている場合でも、一人になれる時間や空間を確保することは大切です。常に誰かと顔を合わせている状態が続くと、気を張り続けてしまい、知らないうちに疲労がたまることもあるでしょう。
別の部屋で過ごす時間をつくる、声をかけられにくい時間帯を決めるなど、完全でなくても「一人でいられる余白」を意識することで、心身の負担を減らしやすくなります。
家族に期待しすぎない・抱え込まない
家族だからこそ、「理解してほしい」「察してほしい」という気持ちが強くなりやすい一方で、その期待が裏切られると落ち込みにつながることもあります。すべてをわかってもらおうとする必要はなく、家族が思うように対応できないこともあると理解しておくことが大切です。
また、つらさを一人で抱え込まず、外部の支援や医療機関に相談する選択肢を持つことも、自宅での過ごし方を安定させる助けになるでしょう。
伝えられる範囲で状態を共有する
無理に詳しく説明する必要はありませんが、伝えられる範囲で今の状態を共有しておくことで、誤解やすれ違いを減らしやすくなります。「今はあまり話せない」「今日は休みたい」といった短い言葉でも構いません。何も伝えずに我慢を続けるよりも、最低限の共有をすることで、自宅での過ごし方に余裕が生まれることがあります。
一人暮らしの場合の自宅での過ごし方
一人暮らしの場合、うつ病の療養中は「すべてを自分一人で抱える」状況になりやすい一方で、誰にも気を遣わずに過ごせるという側面もあります。そのため、「もっと人と関わった方がいい」「外に出ないといけない」といった一般的な助言が、かえって負担になることも少なくありません。
本項目では、以下のポイントを詳しく見ていきましょう。
- 生活の最低ラインをあらかじめ決めておく
- 誰とも話さない日があっても問題ないと捉える
- 一日中家にいても罪悪感を持たない
- 体調が急に悪くなったときの備えをしておく
- 外部とのつながりを細く保つ工夫をする
一人暮らしの自宅での過ごし方では、無理に行動範囲を広げることよりも、安全に、消耗を増やさずに過ごせる環境を整えることが重要です。
生活の最低ラインをあらかじめ決めておく
一人暮らしでは、体調が落ちると生活全体が止まりやすくなります。そのため、「これだけできていれば十分」という生活の最低ラインをあらかじめ決めておくことが役立ちます。
たとえば、水分を摂る、何か口に入れる、布団からトイレに行けるなど、最低限の範囲で構いません。理想的な生活を目標にするのではなく、崩れにくいラインを設定することで、できなかった自分を責めにくくなります。
誰とも話さない日があっても問題ないと捉える
一人暮らしでは、誰とも話さない日が続くこともありますが、それ自体が必ずしも悪い状態とは限りません。孤独=悪と考えてしまうと、「人と関わらない自分はだめだ」と自己否定につながりやすくなります。
うつ病の療養中は、人との関わりが回復を助ける場合もあれば、負担になる場合もあります。話さない日があっても問題ないと捉えることで、自宅での過ごし方に余裕が生まれるでしょう。
一日中家にいても罪悪感を持たない
一人暮らしの場合、「今日は一度も外に出ていない」「何もしていない」という状況が続くと、強い罪悪感を抱きやすくなります。しかし、外出や活動ができない日があることは、うつ病の経過の中では珍しいことではありません。一日中家にいることは、回復を妨げる行為ではなく、必要な休養である場合もあります。
自宅で過ごした一日を否定せず、「今日は休む日だった」と受け止めることが大切です。
体調が急に悪くなったときの備えをしておく
一人暮らしでは、体調が急に悪くなったときに頼れる人が近くにいないこともあります。そのため、調子のよいときに備えをしておくことが重要です。
すぐに食べられるものや飲み物を用意しておく、連絡先をわかりやすい場所にまとめておくなど、小さな準備で構いません。「何かあったらどうしよう」と不安を抱え続けるよりも、備えがあることで気持ちが落ち着きやすくなります。
外部とのつながりを細く保つ工夫をする
無理に人と会ったり、頻繁に連絡を取ったりする必要はありませんが、外部とのつながりを完全に断たない工夫は、一人暮らしのリスクを和らげる助けになります。
短いメッセージのやり取りや、定期的に利用するサービスなど、負担にならない形で十分です。つながりは太くなくて構わず、「完全に一人きりにならない状態」を保つことが、自宅での過ごし方を安定させます。
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うつ病の自宅での過ごし方に、「これが正解」という答えはありません。
自宅で過ごすうえで、朝起きられない日があったり、何もできずに一日が終わったりすることもあるでしょう。「この過ごし方でいいのだろうか」「回復から遠ざかっているのではないか」と不安になることは自然なことです。
自宅での過ごし方に迷いが生じたときは、一人で抱え込まず、専門家に相談することも大切な選択肢の一つです。生活の中で感じている困りごとや不安は、治療と切り離されたものではなく、心身の状態と深く関わっています。
第三者の視点を取り入れることで、「今の過ごし方で問題ないのか」「どこを無理しなくていいのか」を整理しやすくなることもあります。
みつだクリニックでは、症状や治療だけでなく、日常生活に関する悩みについても相談することが可能です。自宅での過ごし方に不安を感じている場合や、このままでよいのか判断がつかない場合も、無理のない形でご相談ください。
受診をご希望の方は、事前にご予約をお願いします。
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まとめ
うつ病のときの自宅での過ごし方は、回復を急ぐためのものではなく、心と体を守るための時間です。朝・日中・夜それぞれの時間帯で無理をしない工夫を重ねることが、結果的に回復の土台になります。
何もできない日があっても問題はありません。一人暮らしでも、家族と暮らしていても、自分に合った距離感や過ごし方を選ぶことが大切です。そして、自宅での過ごし方に迷ったときや不安が強くなったときは、専門家に相談することも一つの方法です。
「この過ごし方でいいのか」と悩んでいる方にとって、少しでも気持ちが楽になるヒントになれば幸いです。
みつだクリニックでは、うつ病をはじめとする精神疾患に関するコラムを発信しています。
休職を検討している方や、うつ病の薬について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
『冬季うつ病の治し方|自分でできる対処法や治療法を紹介 』
『うつ病で休職中の方へ|安心して休むための制度と過ごし方を徹底解説』
『うつ病の薬とは?種類や効果、副作用、処方の流れを徹底解説』