うつ病の特徴とは?こころと身体に出る症状や睡眠障害を詳しく紹介
「最近、元気がない」「何をするのも面倒くさい」そんな思いを抱えていませんか?うつ病は、誰もが発症するリスクを持つ病気です。うつ状態が続くと、こころだけでなく身体にもさまざまな特徴が現れます。 例えば、睡眠障害に悩まされたり、食欲がなくなったり、集中力が低下したりと、日常生活に深刻な支障をきたします。
また、周りからは「元気がない」と指摘されても、自分ではコントロールできない状況に陥ってしまうのがうつ病の怖いところです。 本記事では、うつ病にみられる具体的な特徴やうつ病の方に多い睡眠障害を詳しく解説していきます。
うつ病とは
うつ病は、主に落ち込みや興味・喜びの喪失などの気分が継続する状態を指します。単極性気分障害とも呼ばれ、躁状態(過剰に活動的で気分が高揚した状態)が見られず、うつ状態のみが見られる病態です。うつ病の症状は多岐にわたりますが、こころだけでなく身体にもさまざまな特徴が現れます。
うつ病の特徴が2週間以上みられる場合は、専門家への相談が推奨されます。適切な治療を受けることで、多くの場合は回復が可能です。
うつ病の原因は、「うつ病が治らない原因とは?治療方法について詳しく紹介」の記事で詳しく紹介しているので、本記事とあわせてご覧ください。
躁うつ病とは
うつ病とよく似た名前に躁うつ病があります。躁うつ病は、気分の落ち込みと気分の高ぶりを繰り返す双極性気分障害とも呼ばれる病態です。うつ状態では集中力の低下など、うつ病と同様の特徴が見られますが、躁状態では多弁になったり、過剰な自信を持ったりします。躁うつ病は、うつ病よりも重症化しやすくなる恐れがあります。
また、躁うつ病にみられる特徴は個人差が大きく、躁状態とうつ状態のどちらが先行するかも人それぞれです。状態が変わるタイミングも不規則なため、日常生活に大きな支障が出る可能性があり、専門家による適切な治療が必要不可欠となります。
こころに現れるうつ病の特徴
こころに現れるうつ病の特徴として、抑うつ状態があげられます。抑うつ状態とは、気分が沈んだり憂うつになったりすることです。抑うつ状態になると、何をするのも億劫に感じたり、生きる喜びを感じられなくなってしまいます。
以下で、こころに現れるうつ病の特徴を見ていきましょう。
孤独感や絶望感を感じる
自分は周りから孤立していると感じたり、将来に希望が持てなくなったりします。孤独感や絶望感は、うつ病の代表的な特徴の一つです。例えば、以下のような状態を指します。
- 自分は誰からも理解されていないと感じる
- 将来が見えず、夢や希望を持つことができない
- 人生に意味を見いだせなくなり、絶望的になる
気分転換を図ろうと思っても、なかなか改善しにくい点が特徴です。
イライラしやすくなる
うつ病の特徴の一つとして、イライラしやすくなることがあります。些細なことでも不快に感じたり、怒りっぽくなったりします。例えば、以下のような状態です。
- 家族や同僚の些細な行動にも過剰に反応する
- 交通渋滞や待ち時間など、些細なストレスで激高する
- 自分の考えと異なる意見を受け入れられない
- 怒鳴ったり物を投げつけたりする破壊的な行動に走る
イライラする理由は、気分が沈み込んでいるときに些細な出来事が大きなストレスに感じられるためです。イライラしやすくなると、対人関係がこじれやすくなり、さらにうつ状態が深刻化する恐れがあります。
何をするにもやる気が出ない
うつ病の大きな特徴の一つが、何をするにもやる気が出ないという状態です。やる気が出ないと、日常生活に大きな支障をきたします。例えば、以下のような例です。
- 家事や仕事への意欲がなくなる
- 趣味や楽しみごとが面倒に感じられるようになる
- 外出するのが億劫になる
- 人と会うのが億劫になる
上記のように、以前は楽しかったことや大切にしていたことへの関心が次第に失われていきます。生活や社会への関与が難しくなると、徐々に人との接点がなくなってしまうでしょう。
頭が働かず仕事に集中できない
集中力が低下し、作業効率が著しく低下してしまう状態もうつ病の特徴です。そのため、簡単な仕事でも頭が働かず、いつまでも手につかないでいることがあります。
具体的な特徴は、以下の通りです。
特徴 | 具体例 |
集中力の低下 | 長時間同じ仕事が続けられない仕事中によく気が散る |
判断力の低下 | 適切な判断ができない些細なことで迷ってしまう |
記憶力の低下 | 最近のことを覚えられない同じ作業を繰り返してしまう |
上記のように、思考力や認知機能が低下するため、仕事を遂行する上で大きな障害となります。上司や同僚からも「最近仕事が進んでいない」と指摘されがちです。また、作業効率が落ちるため、自己嫌悪になりやすく「自分は無能だ」と自己否定的になるでしょう。そのため、さらに集中力が散漫になる負のスパイラルに陥ることもあります。
身体に現れるうつ病の特徴
うつ病は、こころだけでなく身体にもさまざまな特徴が現れます。身体に現れる特徴は、誰もが経験する可能性のあるものですが、うつ病では程度が強く長期間続きます。以下で、身体に現れるうつ病の特徴を見ていきましょう。
表情が暗いと言われる
うつ病は自分が感じるこころの変化だけでなく、周りから見て分かる変化もあります。中でも、多くの人が周りから指摘されるのが「表情が暗い」という特徴です。無気力や倦怠感、悲しみや絶望感などのネガティブな感情が優勢になると、自然と表情も暗くなってしまいます。精神的な不調は、顔の表情にも影響を与えます。
表情筋は脳からの指令により動かされますが、うつ病で脳内の神経伝達物質のバランスが乱れると指令がうまく伝わらず、無表情になったり、口角が下がってしまったりといったことが起こります。
下痢・便秘などの不調がある
うつ病は、自律神経と密接な関係があります。 身体は疲れているのに頑張ろうとすると、徐々に頑張るエネルギーがなくなり、気分が落ち込んだり不安感が強くなったりして、うつ病へ発展してしまうためです。自律神経が乱れると、腸の動きに異常が生じて下痢や便秘などの不調が現れます。
また、うつ病による食欲不振も胃腸症状を引き起こす原因の一つです。十分な栄養が取れないと、腸の働きが低下し便秘がちになります。
食欲がなくなる
先述したように食欲不振もうつ病の一つの特徴です。食べたくないと感じたり、味が分からなくなったりします。食欲低下は、次のようないくつかの不調が現れる可能性もあります。
- 食べられる量が極端に減る
- お気に入りの食べ物でも食べたくならない
- 食事のたびに吐き気がする
食事が思うようにできないと、痩せてしまうリスクがあります。体重の減少が著しい場合は、栄養失調や貧血などの新たな健康被害も生じかねません。
なかなか眠ることができない
うつ病の特徴の一つとして、睡眠障害があげられます。睡眠不足が続くと、さらにこころや身体の不調が悪化する悪循環に陥ります。うつ病になると脳内物質の感情を安定させるセロトニンや眠りに誘うメラトニンが減少するためです。そのため、健常者と比べてうつ病の人は睡眠時間が極端に短くなるという特徴がみられます。
多くのうつ病の人が悩まされる睡眠障害
睡眠障害とは、睡眠の質や量に何らかの問題がある状態のことです。なかなか眠ることができないという特徴がみられる方は、睡眠障害の可能性があるかもしれません。
うつ病を抱えている人にとって、睡眠障害は深刻な問題です。十分な睡眠が取れないことで、日中の活動にも大きな支障が出てしまいます。孤独や絶望の気持ちに加えて、睡眠不足による疲労感が重なると、うつ病の特徴はさらに深刻化してしまう恐れもあります。
以下で、多くのうつ病の人が悩まされる睡眠障害の特徴を詳しく解説していきましょう。
入眠障害
入眠障害とは、夜になっても眠れない状態のことを指します。例えば、以下のような入眠障害に悩まされます。
- 就寝時間になっても、なかなか眠ることができない
- 横になっても、頭の中が整理できずもやもやして眠れない
- 夜中までグズグズと考え事をしてしまう
うつ状態にある人は心配事や悩み事が尽きず、夜も頭から離れません。そのため、入眠に至るまでに時間がかかってしまいます。また、せっかく眠れても十分な睡眠期間が取れないため、翌朝の目覚めが悪くなったり昼夜の生活リズムが乱れたりする悪循環を生む可能性もあるでしょう。
中途覚醒
中途覚醒とは、夜間に目を覚ましてしまい、その後なかなか眠りに落ちられない状態を指します。例えば以下のようなケースが考えられます。
- 夜中の2時に目が覚める
- トイレに起きた後、なかなか眠れない
- 悪い夢を見て目が覚めてしまう
一度起きてしまうと、何か心配事を考えてしまったり、眠れないストレスで余計に眠りが浅くなってしまったりする悪循環に陥ります。睡眠リズムが乱れ、十分な睡眠が取れなくなってしまうためです。中途覚醒が続くと日中の眠気や集中力の低下など、さまざまな問題が生じかねません。
早朝覚醒
早朝覚醒は、自分が望む起床時刻より2時間以上早く目が覚めてしまう状態です。早朝覚醒は、以下のような原因が考えられています。
- ストレスなどから自律神経の乱れが生じる
- 睡眠・覚醒リズムが乱れる
睡眠不足が続くと、さらにうつ病にみられる特徴が悪化する悪循環に陥ります。早朝覚醒は、うつ病の症状の一つとして出現しやすいため、診断の手掛かりになります。
熟睡障害
うつ病を患う人の多くが、熟睡障害に悩まされています。熟睡障害とは、睡眠時間は十分なものの、ぐっすり眠った感じが得られない状態です。
具体的には、以下のような不調があげられます。
- 眠りが浅い感じがする
- 寝ているはずなのに疲れが取れない
睡眠の質の低下は、集中力の低下や疲労感などを引き起こすため、日中の活動にも影響を及ぼします。睡眠は身体を休めるだけでなく、脳の活動を整える大切な役割もあります。
熟睡障害が続くと、うつ病の特徴がさらに悪化してしまう可能性もあるでしょう。
適切な治療でうつ病は改善します
うつ病は、誰でも発症する可能性がある病気です。もし、うつ病かもしれないと感じたら、一人で悩まずに医療機関を受診してください。
うつ病のメカニズムは完全に解明されていませんが、脳の伝達物質による病気といわれており、心療内科や精神科で適切な治療をすれば改善が期待できます。
うつ病の治療法には、大きく分けて以下の3つの方法があります。
- 薬物療法…薬を服用して症状を緩和する
- 精神療法…カウンセリングで気持ちを整理する
- 生活習慣の改善…睡眠・運動・食事などの見直しをする
複数の治療法を組み合わせることで、うつ病の改善が期待できます。医師に相談し、自分に合った治療法を見つけることが大切です。
うつ病の医療機関での診断方法は「鬱診断セルフチェック|診断方法や診断書について詳しく解説」の記事で詳しく紹介しているので、本記事とあわせてご覧ください。
うつ病にお悩みの方はみつだクリニックにご相談ください
「自分はうつ病かもしれない」そんな不安を感じたら、みつだクリニックにご相談ください。みつだクリニックは大阪府茨木市の精神科・心療内科です。うつ病をはじめとして、不眠症・強迫性障害・HSP・認知症などまで幅広くサポートをしています。
当院では専門の心理士によるカウンセリングを実施しており、経験豊富な精神科専門医が、一人一人に合わせた最適な治療法を提案いたします。また、診察室は完全個室のため、プライバシーが守られた状態で診療を受けることが可能です。
茨木駅から徒歩約1分とアクセスが良く、土・日曜日の診療も行っているので、平日は忙しい方もお気軽にお越しいただけます。
診察は予約制となるため、初診・再診ともに事前のご予約をお願いいたします。
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まとめ
今回は、こころと身体に現れるうつ病の特徴や睡眠障害を解説しました。うつ病は、こころと身体の両面にさまざまな特徴が現れる病気です。また、多くのうつ病の方が悩まされる睡眠障害は、日中の活動にも大きな支障が出てしまいます。うつ病の特徴に加えて、睡眠障害の状態を放置しておくと、さらに不調が深刻化してしまう恐れもあります。うつ病は、適切な治療を受ければ改善が期待できます。
みつだクリニックは、不眠・不安・食欲不振・原因不明の身体症状・人間関係の悩み等、さまざまなストレス障害に対応した診療が可能です。あなたの今抱えている不調や不安の解決法を、一緒に考えていきましょう。