中途覚醒の対策方法を徹底解説|改善のためのセルフケアや治療法とは
夜中に一度目が覚めてしまい、そのあと眠れなくなる「中途覚醒」は、不眠症の中でも特に悩む人の多い症状です。眠りが浅くなりやすい年代や、ストレス・生活習慣・自律神経の乱れなど、原因はさまざま。
放置すると日中の集中力低下や疲労感につながり、慢性的な不調を招くことも少なくありません。
そこでこの記事では、中途覚醒の主な原因から、今日から取り入れられるセルフケア、改善が難しい場合に検討すべき医療機関での治療法まで、わかりやすく解説します。
中途覚醒が起こる主な原因とは
中途覚醒は一つの要因だけで起こるとは限らず、ストレスや不安による自律神経の乱れ、加齢にともなう睡眠の浅さ、寝室の温度・光・騒音といった環境要因が重なることで発生しやすくなります。
また、カフェインやアルコールの摂取、就寝前のスマホ利用など生活習慣の乱れも大きく影響します。
まずは自分の睡眠を妨げている要因がどこにあるのかを確認することが、改善への第一歩です。
今日からできる中途覚醒のセルフ対策
生活習慣や環境を少しずつ整えることで、睡眠の質は大きく変わっていきます。
- 寝る前の刺激を減らす
- 適切な就寝前のルーティンを整える
- 睡眠の質を高める食べ物を意識して摂る
- 深部体温を調整する入浴を取り入れる
- 寝室の温度湿度光環境を整える
- カフェインアルコールの摂取を控える
- ストレスを緩和する呼吸法マインドフルネスを行う
- 就寝中に覚醒したときは無理に眠ろうとしない
- 中途覚醒に効くツボを日常的に刺激する
- 不足しがちな栄養をサプリで補うようにする
- 昼寝の取り方を工夫する
- スマホブルーライトとの付き合い方を見直す
- 適度な運動を生活に取り入れる
- 寝具を見直して体圧分散を高める
ここでは、中途覚醒の改善に役立つ具体的なセルフケア方法を紹介します。
寝る前の刺激を減らす
就寝前の強い刺激は、自律神経を興奮させて中途覚醒の原因になります。特にスマホやパソコンの強い光は脳を覚醒状態にしてしまい、眠りにつく力を弱めるだけでなく、睡眠途中の目覚めにもつながりやすくなります。
また、テレビやゲームなど感情が動く内容も脳を活性化させるため避けたいところです。理想的なのは、寝る1時間前から照明を少し暗くし、デジタル機器の使用を控えること。ストレッチや軽い読書など、心を落ち着かせる行動に切り替えることで、自然と眠りに入りやすくなります。
適切な就寝前のルーティンを整える
就寝前の行動が毎日バラバラだと、自律神経がスムーズに「休むモード」に切り替わらず、中途覚醒を招きやすくなります。寝る1〜2時間前から、照明を落とす・お風呂を済ませる・スマホを遠ざけるなど、同じ流れをつくることがポイントです。脳は「いつもと同じプロセス」を眠りのサインとして認識するため、ルーティンが整うほど寝つきが良くなり、途中で目が覚めにくい状態へ近づきます。
特別なことをする必要はなく、「毎日同じ手順で寝る準備をする」というだけでも、睡眠の質は安定しやすくなります。
睡眠の質を高める食べ物を意識して摂る
食事は睡眠の質に大きく影響します。特に、睡眠ホルモン「メラトニン」の材料となるトリプトファンを含む食品(大豆製品、乳製品、ナッツなど)や、リラックスを促すGABAを含む食品は、中途覚醒の予防に役立ちます。
また、温かい飲み物を取り入れることで身体が緩み、入眠しやすい状態に整います。反対に、寝る直前の重い食事や刺激物は睡眠の妨げとなるため避けたいところです。
食事のとり方を整えることで、夜間の覚醒を減らし、朝まで深い睡眠を維持しやすくなります。
トリプトファンを含む食品については以下の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてください。
『幸せホルモン「セロトニン」の増やし方!食事や生活習慣で自然に改善』
深部体温を調整する入浴を取り入れる
夜にぐっすり眠るためには、深部体温の自然な低下が欠かせません。就寝90分ほど前にぬるめのお湯(38〜40℃)に浸かることで体温が一時的に上がり、その後の体温低下がスムーズになります。この体温の変化が「眠りのスイッチ」となり、入眠しやすくなるだけでなく、中途覚醒の予防にもつながります。
長時間の熱いお風呂は交感神経を刺激し、逆に目が冴えてしまうことがあるため注意が必要です。短め・ぬるめのお風呂を習慣にすることで、睡眠の質を高められます。
寝室の温度・湿度・光環境を整える
寝室環境は中途覚醒を大きく左右します。適切な睡眠のためには、室温は約18〜26℃、湿度は40〜60%が目安。室温が高すぎたり低すぎたりすると、途中で目が覚めやすくなります。また、わずかな光でも脳が覚醒しやすくなるため、遮光カーテンや間接照明を活用し、睡眠中の光刺激を減らすことが重要です。
音についても、突然の物音が中途覚醒を招くため、耳栓やホワイトノイズを利用すると安心して眠れます。環境を整えるだけでも睡眠の質は大きく改善します。
カフェイン・アルコールの摂取を控える
カフェインは覚醒作用が長時間続くため、夕方以降の摂取は中途覚醒の原因になります。また、アルコールは一時的に寝つきを良くするように感じても、夜間に代謝される過程で眠りを浅くし、途中で目が覚めやすくなります。
普段から飲む習慣がある人ほど「眠りに効いている」と誤解しがちですが、実際には睡眠の質を下げてしまうことが多いのが特徴です。飲み物の選択を少し変えるだけでも睡眠は大きく改善するため、夜はカフェインレスの飲料やノンアルコールを取り入れることがおすすめです。
ストレスを緩和する呼吸法・マインドフルネスを行う
ストレスが溜まると交感神経が優位になり、眠りが浅くなったり中途覚醒しやすくなります。そこで役立つのが、ゆっくりとした深呼吸やマインドフルネス瞑想です。特に、息を長く吐く呼吸法は副交感神経を活性化し、身体と心を自然にリラックスさせます。
また、短時間のマインドフルネスは雑念を減らし、睡眠の質を整える効果が期待できます。寝る前に数分間だけでも取り入れることで、入眠がスムーズになり、夜間の覚醒も減りやすくなります。ストレス由来の中途覚醒が続く人には特に有効です。
就寝中に覚醒したときは無理に眠ろうとしない
中途覚醒が起きたとき、「眠らなきゃ」と焦るほど脳が緊張し、さらに眠れなくなる悪循環が生まれます。これは刺激制御療法の考え方と同じで、無理にベッドで粘らないことが重要です。15分ほど眠れない状態が続く場合は、一度ベッドを離れてリラックスできる行動に切り替える方が結果的に再入眠しやすくなります。
眠れない場所としてベッドを脳が学習してしまうのを防ぎ、自然な睡眠リズムを取り戻すことにもつながります。焦りを手放し、「眠気が戻ったら横になる」くらいの気持ちで過ごすことが大切です。
中途覚醒に効くツボを日常的に刺激する
ツボ押しは身体の緊張をほぐし、自律神経を整えるセルフケアとして有効です。特に中途覚醒に効果が期待できるのは「失眠(かかとの中央)」「安眠(耳の後ろ)」「神門(手首の小指側)」などのツボ。軽い痛みを感じる程度の力でゆっくり押すことで、全身のリラックスにつながり、眠りの質を高める働きがあります。ツボ刺激は副作用が少なく、日中の合間や就寝前など好きなタイミングで取り入れられる点も魅力です。
薬に頼らず睡眠状態を整えたい人にとって手軽に続けやすい方法といえます。
不足しがちな栄養をサプリで補うようにする
睡眠に関わる栄養素が不足すると、中途覚醒が起きやすくなります。例えば、リラックス効果のあるGABAや神経伝達物質を整えるマグネシウムは、日本人に不足しがちな栄養素として知られています。
また、メラトニンは睡眠リズムに関わる重要なホルモンで、海外ではサプリとして一般的です。ただし、サプリは体質によって合う合わないがあるため、過量摂取や自己判断での長期使用には注意が必要です。足りない栄養を補いながら、生活習慣全体を整えることが改善への近道です。
昼寝の取り方を工夫する
昼寝は使い方次第で睡眠リズムを整える手助けになりますが、長すぎたり夕方以降に眠ると夜間の睡眠を妨げ、中途覚醒を悪化させることがあります。理想的なのは、昼食後の15〜20分ほどの短い仮眠です。浅い眠りの段階で起きることで頭がすっきりし、夜の睡眠にも影響しにくくなります。
また、ベッドで寝るよりもソファや椅子で軽くうたた寝する方が深く眠りにくく、リズムを乱しにくい点もメリット。昼寝の習慣を見直すことで、夜間の覚醒を減らせることがあります。
スマホ・ブルーライトとの付き合い方を見直す
ブルーライトは体内時計に影響を与える強い光で、睡眠ホルモンの分泌を妨げることが知られています。寝る前にスマホを触る習慣があると、脳が覚醒しやすくなり、中途覚醒のリスクも高まります。理想は就寝1時間前にスマホを手放すことですが、難しい場合はナイトモードやブルーライトカット眼鏡を活用するのも一つの方法です。
また、ベッドでのスマホ使用は刺激制御療法の観点からも避けるべき習慣です。デジタルとの距離を工夫するだけでも睡眠の質が大きく変わります。
適度な運動を生活に取り入れる
日中の適度な運動は、深い睡眠を促し、中途覚醒の改善に効果的です。特にウォーキングや軽い筋トレなど、無理なく続けられる運動はストレス解消にもつながり、夜のリラックス度を高めます。ただし、寝る直前の激しい運動は交感神経を刺激してしまうため、就寝2〜3時間前までに済ませることが大切です。運動習慣を整えることで体温調整機能が高まり、寝つきが良くなり、睡眠の連続性も改善しやすくなります。
継続するほど効果が現れやすいため、日常生活の中に無理なく取り入れましょう。
寝具を見直して体圧分散を高める
寝具の硬さや劣化は、身体の緊張や寝返りのしづらさにつながり、中途覚醒を引き起こす原因になります。特にマットレスの体圧分散性が低いと、身体の一部に負担がかかり、睡眠中に痛みや違和感で目が覚めやすくなります。自分の体型や寝姿勢に合った寝具を選ぶことで、身体が自然とリラックスし、深い眠りを維持しやすくなるでしょう。
また、枕の高さが合わない場合も首肩の緊張を招くため注意が必要です。寝具の見直しは睡眠改善に直結するため、快適な環境づくりの一環として積極的に検討しましょう。
不眠症改善のための自宅でできる方法については、以下の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてください。
『不眠症を改善するために自宅でできる方法とは?』
中途覚醒に役立つ行動療法(非薬物療法)
行動療法は、習慣や考え方を整えることで、中途覚醒の根本改善につながりやすい方法です。
- 刺激制御療法
- 睡眠制限療法
- 認知行動療法(CBT-I)
ここでは、薬に頼らず睡眠の質を高める「行動療法」について紹介します。
刺激制御療法
刺激制御療法は、「ベッド=眠るための場所」という条件づけを再び強めることで睡眠を整える治療法です。眠れないまま長時間ベッドにいると、脳は「ベッド=眠れない場所」と学習してしまい、中途覚醒や入眠困難を悪化させる原因になります。そこで、眠れないときはいったんベッドを離れ、心が落ち着く行動に切り替えることが重要です。
また、眠気を感じたときだけベッドに入る、ベッドの上でスマホや仕事をしないなど、睡眠と関係のない刺激を避けることもポイント。こうした習慣を続けることで、自然に睡眠リズムが整いやすくなります。
睡眠制限療法
睡眠制限療法は、寝床にいる時間と実際に眠れている時間の差を縮めることで、睡眠の効率を高めていく治療法です。長時間ベッドにいながら眠れていない状態が続くと、脳は「寝床=眠れない場所」と認識し、中途覚醒を悪化させる傾向があります。
そこで、まず現在の平均睡眠時間を把握し、その時間に合わせて「寝床にいる時間」を制限します。最初は睡眠時間が短く感じることもありますが、次第に眠気が高まり、入眠しやすく中途覚醒も減っていくでしょう。
その後、睡眠効率が高まった段階で寝床にいる時間を徐々に延ばし、自然な睡眠リズムを再構築していきます。
認知行動療法(CBT-I)
認知行動療法(CBT-I)は、不眠の原因となる思考パターンや行動習慣を整えることで、睡眠の質を改善する方法です。中途覚醒が続くと、「また夜中に目が覚めてしまうのでは」という不安が強まり、かえって脳が覚醒しやすくなる悪循環が起こります。
CBT-Iでは、このような不安や誤った睡眠への思い込みを修正し、眠りやすい考え方へと整えていきます。また、睡眠記録をつけて生活習慣を客観的に振り返り、改善点を見える化するのも重要なプロセスです。薬に頼らず根本改善を目指す治療法として、国際的にも高い効果が認められています。
不眠症や中途覚醒にお悩みの方はみつだクリニックへご相談ください
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中途覚醒が続き、日中の不調や生活への影響が出ている場合は、専門的な治療によって改善できる可能性があります。みつだクリニックでは、不眠症や睡眠障害に対して丁寧な問診・検査を行い、お一人おひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。
セルフケアで改善が難しい方や、睡眠に不安を感じている方は、早めにご相談ください。
まとめ
中途覚醒は、ストレスや生活習慣、環境などさまざまな要因が重なって起こります。まずは寝る前の刺激を減らす、食事や入浴を見直すなど、セルフケアから取り組むことで改善が期待できます。それでも症状が続く場合は、早期に医療機関へ相談することが大切です。
中途覚醒は適切な対策とサポートで改善を目指せる症状ですので、一人で抱え込まず専門家に頼ってみてください。
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