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パニック障害の治し方。取り入れやすいものから薬物療法まで紹介

パニック障害の治し方

突然理由もなく激しい動悸や息苦しさ、めまいなどの発作に襲われるパニック障害。日常生活に支障をきたすこともあり、不安や恐怖を抱えている方も多いのではないでしょうか。

パニック障害は、適切な治療によって症状をコントロールし、日常生活を取り戻すことが可能です。

この記事では、パニック障害の症状や原因、そして具体的な治し方について、薬物療法だけでなく、生活習慣の見直しや認知行動療法といった多角的なアプローチを解説していきます。ご自身の状況に合った方法を見つけるための一助となれば幸いです。

パニック障害とは?

パニック障害は精神疾患の一種であり、突然理由もなく激しい動悸やめまい、吐き気、発汗、呼吸困難などの発作(パニック発作)を繰り返す病気です。

パニック発作は、死んでしまうのではないかというような強い恐怖感を伴うのが特徴です。場所や時間を選ばず突然起こるため、また発作が起こるのではないかという不安から、生活に支障をきたすこともあります。

パニック障害になりやすい人の特徴

パニック障害は誰にでも起こりうる病気ですが、なりやすい人がいることも事実です。どのような人がパニック障害になりやすいのか、主な特徴をいくつかご紹介します。

  • ストレスの多い環境にいる人
  • 神経質な性格の人
  • 真面目で責任感が強い人
  • 完璧主義な人

以上のような特徴を持っている方は、仕事や人間関係で高い目標を設定し、それらを達成しようと過剰に努力する傾向があります。また、小さなミスや失敗を気に病みやすく、自分自身を責めてしまうこともあるようです。このような性格はストレスをため込みやすく、パニック障害の発症につながる可能性があるのです。

そのほか、過去のトラウマなどの特定の状況に対する恐怖心が引き金となって発症する場合や、遺伝的な要因も関係していると考えられています。

これらの特徴に当てはまるからといって必ずしもパニック障害になるわけではありませんが、日頃から自分の精神状態に気を配り、ストレスを適切に管理することが重要です。

パニック障害の特徴については以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。

パニック障害あるある!パニック障害になりやすい人の特徴や対処法

パニック障害の薬以外の治し方

パニック障害の薬以外の治し方

パニック障害の治療には薬以外に、生活習慣の見直しや心理療法といった方法も有効です。

  • 認知行動療法で考え方を変える
  • 曝露療法で恐怖に立ち向かう
  • リラクゼーション法を取り入れる
  • 体を動かす
  • バランスの良い食事を摂る
  • 質の良い睡眠をとる
  • 生活習慣を改善する
  • アルコール・カフェイン・ニコチンを控える
  • 周囲の人に協力してもらう

本項目では、以上のポイントを詳しく紹介します。

認知行動療法で考え方を変える

パニック障害の治療において、認知行動療法は薬物療法と並んで有効な方法です。

パニック発作が生じる原因の一つとして、身体反応に対する「誤った認知」が挙げられます。例えば、動悸や息切れなどの身体症状を「心臓発作の前兆だ」とか「このまま死んでしまう」といったように、実際よりも危険な状態だと考えてしまうことです。

このような「破局的思考」とも呼ばれる認知の歪みを修正していくことが、パニック障害の克服につながります。

認知行動療法では、まず自身の思考パターンを把握し、どのような状況でどのような思考が浮かぶのかを記録していきます。そして、その思考が合理的かどうかを検証し、より現実的でバランスの取れた考え方に修正していく訓練を行います。

例えば、「動悸がする=心臓発作」という思考に対して、「以前にも動悸はあったが、心臓発作ではなかった」「単に緊張しているだけかもしれない」といった反証を考え、思考の修正を図ります。

曝露療法で恐怖に立ち向かう

パニック障害の治療法の一つとして、曝露療法も挙げられます。これは、患者さんが恐怖を感じる状況に意図的に身を置き、徐々に慣れていくという治療法です。

パニック発作が起きるのではないかという不安や恐怖は、その状況から逃げ出すことで強化されてしまいます。曝露療法では、安全な環境で段階的に恐怖の対象に近づいていくことで、実際に恐れていた事態が起こらないことを体験し、不安や恐怖を軽減していきます。

例えば、電車に乗ることが怖いと感じる場合、最初は駅のホームに立つことから始めます。次に、停車中の電車に乗り込み、しばらく座ってみます。そして、短い距離を乗車し、徐々に乗車時間を延ばしていくというように、段階を踏んで恐怖に慣れていきます。

リラクゼーション法を取り入れる

パニック発作の症状を抑えるには、心身をリラックスさせることが大切です。リラクゼーション法にはさまざまな種類がありますが、代表的なものとして呼吸法とマインドフルネスがあります。

呼吸法は、ゆっくりと深く呼吸することで、自律神経のバランスを整え、心身をリラックスさせる方法です。息を吸う長さよりも吐く長さを長くすることで、副交感神経が優位になり、リラックス効果が高まります。発作時だけでなく、普段から行うことで、パニック発作の予防にもつながるでしょう。

マインドフルネスは、「今、この瞬間」に意識を集中することで、余計な思考や感情にとらわれず、心身を落ち着かせる方法です。瞑想やヨガなどを通して実践することができます。パニック発作が起きそうな予兆を感じたときや、発作中に実践することで、症状の悪化を防いだり、落ち着きを取り戻したりする効果が期待できるでしょう。

呼吸法とマインドフルネスは、特別な道具や場所を必要とせず、手軽に取り入れることができるため、パニック障害のセルフケアとしておすすめです。

体を動かす

パニック障害の症状緩和には、体を動かすことも効果的です。適度な運動は、気分を安定させる神経伝達物質であるセロトニンの分泌を促進する効果が期待できます。セロトニンは、精神の安定に深く関わっており、不足すると不安やイライラを感じやすくなると言われています。

運動の種類は、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。激しい運動は、かえってストレスを増加させてしまう可能性があるため、無理のない範囲で行うようにしましょう。週に3回程度、30分を目安に継続することが大切です。

ただし、運動中に息切れや動悸が激しくなったり、気分が悪くなったりする場合は、すぐに運動を中止し、安静にしてください。ご自身の体調に合わせて、無理なく続けられる範囲で運動を行いましょう。

セロトニンの増やし方は以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

幸せホルモン「セロトニン」の増やし方!食事や生活習慣で自然に改善

バランスの良い食事を摂る

パニック障害の症状緩和には、バランスの良い食事を摂ることも大切です。特定の栄養素を積極的に摂ることで、症状の改善が期待できます。

以下に示す食品をバランス良く食事に取り入れるように心がけましょう。

  • トリプトファン

必須アミノ酸であり、セロトニンは精神の安定に深く関わっています。

牛乳、大豆製品、バナナ、卵などに含まれます。

  • ビタミンB群やマグネシウム

神経の働きを正常化するために重要な栄養素です。

豚肉、レバー、うなぎ、玄米などに含まれます。

また、血糖値の急激な上昇や下降は、精神状態の不安定さを招き、パニック発作の引き金となる可能性があります。GI値の低い食品を選ぶ、規則正しく食事を摂るなど、血糖値を安定させる食生活を心がけることも重要です。

質の良い睡眠をとる

睡眠不足は、パニック発作の悪化要因となることがあります。十分な睡眠をとることは、パニック障害の症状を和らげるために非常に重要です。睡眠不足の状態では、自律神経のバランスが崩れやすくなり、パニック発作の誘因となる可能性が高まります。また、心身の疲労を蓄積させ、ストレスへの耐性を低下させるため、パニック障害の症状を悪化させる可能性もあるのです。

質の良い睡眠をとるためには、以下のような方法を試してみてください。

  • 規則正しい睡眠スケジュールを維持する
  • 寝る直前にカフェインやアルコールの摂取を避ける
  • 就寝前にリラックスできる時間を作る
  • 寝室の環境を整える

光や音、温度は睡眠の質に大きく影響するため、快適な睡眠環境を作ることで、より深い睡眠を得ることができます。

もし、睡眠に問題を抱えている場合は、睡眠専門医に相談することも有効です。専門医のアドバイスを受けることで、睡眠の質を改善し、パニック障害の症状を和らげることができるでしょう。

不眠症については以下の記事で解説しています。不眠にお悩みの方はぜひご覧ください。

不眠症とは?原因や治療法・自分でできる治し方をわかりやすく紹介

不眠症の症状とは?タイプ別の原因と改善策も解説

生活習慣を改善する

パニック障害の症状を和らげるには、生活習慣の改善が重要です。規則正しい生活を送ることで、自律神経のバランスを整え、ストレスを軽減することができます。

上述したように、体を動かすことやバランスの良い食事を摂ること、質の良い睡眠をとることは心身の安定につながります。

これらの生活習慣の改善は、パニック障害の症状だけでなく、他の精神的な不調の改善にも役立ちます。焦らず少しずつ、できることから始めてみましょう。

アルコール・カフェイン・ニコチンを控える

パニック障害の症状を悪化させないためには、寝る直前に限らず、常日頃からアルコール、カフェイン、ニコチンの摂取を控えることが大切です。これらはパニック発作の誘発物質となる可能性があり、症状を悪化させるだけでなく、治療の効果を弱めてしまう可能性も懸念されます。

  • アルコール

一時的にリラックス効果をもたらすように感じられますが、実際には中枢神経系を抑制する作用があり、不安やパニック発作を誘発する可能性があります。また、アルコールの離脱症状もパニック発作と似た症状を引き起こすことがあるため、注意が必要です。

  • カフェイン

カフェインはコーヒー、紅茶、エナジードリンクなどに含まれる刺激物質です。カフェインは交感神経を刺激し、心拍数や血圧を上昇させる作用があります。これにより、動悸や息切れなどの身体症状が現れ、パニック発作を誘発したり、悪化させたりする可能性があります。

  • ニコチン

タバコに含まれる依存性の高い物質です。ニコチンも交感神経を刺激する作用があり、パニック発作の誘因となる可能性があります。また、ニコチンは長期的に見て、不安や緊張を高める作用があるため、パニック障害の症状を悪化させる可能性も懸念されます。

これらの物質は、摂取することでパニック発作の頻度や強度が増加する可能性があるため、パニック障害の治療中はもちろんのこと、再発予防のためにも、摂取を控える、もしくは量を減らすことが推奨されます。

周囲の人に協力してもらう

パニック障害の症状は、患者本人以外にはなかなか理解されにくいものです。そのため、周囲の理解と協力が、症状の改善や再発防止に大きな役割を果たします。

「自分は病気であり、特別な支援や配慮が必要だ」と主張するのではなく、パニック障害という病気について、まずは家族や親しい友人に正しく理解してもらうことが重要です。

パニック障害は、いつ、どこで、どのような症状が現れるか予測できない病気です。症状が現れたときに、落ち着いて対応できるよう、周囲の人には予めパニック発作時の症状や対処法について説明しておきましょう。

また、症状が改善した後も、再発を防ぐためには、周囲の協力が不可欠です。焦らずにゆっくりと自分のペースで社会生活に復帰できるよう、励ましや見守りをお願いしましょう。周囲の理解と協力が、パニック障害の克服につながる大きな力となるはずです。

パニック障害には薬物療法も重要

パニック障害の薬物療法

パニック障害の治療には、薬物療法も重要な役割を担います。薬物療法は、多くの場合、認知行動療法などの精神療法と組み合わせて行われます。薬物療法単独でも効果がある場合もありますが、再発防止のためには、薬物療法と精神療法を併用することが推奨されています。

本項目では、薬物療法に使われる抗うつ薬(SSRI)と抗不安薬について解説します。

抗うつ薬(SSRI)

パニック障害の薬物療法では抗うつ薬が用いられます。中でも選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は第一選択薬として推奨されています。

SSRIは脳内の神経伝達物質であるセロトニンの働きを高めることで、不安や恐怖といった感情をコントロールし、パニック発作を予防する効果が期待できます。SSRIは効果が現れるまでに数週間かかる場合があり、また、副作用として吐き気や眠気、性機能障害などが現れる可能性があります。

これらの症状は一時的なものが多いですが、症状が重い場合は医師に相談しましょう。SSRIの種類は複数あり、効果や副作用の出方にも個人差があります。医師と相談しながら、自分に合った薬を見つけることが大切です。

抗不安薬

抗不安薬は、パニック発作の不安や緊張といった症状を抑える薬として用いられます。抗不安薬は、脳内の神経伝達物質であるGABAの働きを強めることで、不安や緊張を和らげる効果があります。即効性があるため、頓服として処方される場合もあり、発作が起きたときに服用することで、症状を速やかに軽減することができます。

しかし、急に服用を中止すると不安や不眠などの症状が悪化する「反跳現象」が現れることがあるため、自己判断で服用を中止せず、必ず医師に相談するようにしてください。

抗不安薬は、パニック発作の症状を一時的に抑える効果はありますが、根本的な治療ではありません。他の治療法と併用することで、より効果的にパニック障害を治療することができます。

パニック障害の治療後・再発防止するには?

パニック障害の治療後、症状が改善しても再発を防ぐためには、継続的な取り組みが重要です。特に、認知行動療法で身につけた考え方や対処法を日常生活で実践し続けましょう。

規則正しい生活を送ることも再発予防に効果的です。十分な睡眠を確保し、バランスの取れた食事を摂ることで、自律神経のバランスを整え、心身の安定を保ちましょう。

過度なストレスはパニック発作の引き金となる可能性もあるため、趣味やリラックスできる活動を通して、ストレスを解消することも大切です。

さらに、症状が改善した後も、定期的に医療機関を受診し、医師に相談することをおすすめします。医師との継続的な関係を築くことで、再発の兆候を早期に発見し、適切な対応をとることができるでしょう。

パニック障害にお悩みの方はみつだクリニックにご相談ください

みつだクリニック

パニック障害にお悩みの方は、JR茨木駅西口から徒歩約1分という便利な場所にある「みつだクリニック」で、ぜひご相談ください。通いやすいアクセス環境は、継続的な治療を必要とする方にとって大きな助けとなります。

みつだクリニックでは、パニック障害をはじめ、うつ病、不眠症、適応障害、社会不安障害、大人の発達障害など、さまざまな心の問題に対応しています。経験豊富な医師が、患者さま一人ひとりの症状やご希望に寄り添い、最適な治療プランをご提案します。丁寧で安心できる診療を心がけていますので、どうぞ安心してお越しください。

ご予約はお電話のほか、以下の「予約フォーム」からも承っています。

みつだクリニック「予約フォーム」

皆さまの健康な毎日をサポートするために、スタッフ一同お待ちしています。

まとめ

この記事では、パニック障害の治し方について、薬以外の方法から薬物療法まで幅広く解説しました。パニック障害は、突然の激しい動悸や息苦しさ、めまいなどの発作に襲われる病気です。放置すると日常生活に支障をきたす可能性もあるため、早期の治療が重要です。

パニック障害は、適切な治療を受けることで症状を改善し、日常生活を取り戻すことができます。この記事が、パニック障害の克服に向けての第一歩を踏み出すためのお役に立てれば幸いです。

診療時間・担当医

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休診日:祝日(振替休日含む)・年末年始・第2,4金曜日

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