適応障害の症状とは?原因となるストレス・なりやすい人や治療方法
「最近、なんだか仕事がうまくいかない」「些細なことでイライラしてしまう」「夜も眠れない」 こんな経験ありませんか?実はこれらの症状は適応障害のサインかもしれません。適応障害は何らかのストレス要因により、日常生活が困難になるほどの精神的苦痛を感じる状態を指します。今回は適応障害の主な症状や原因・適応障害になりやすい人の特性・適応障害の治療方法を詳しくご紹介します。適応障害で悩むすべての方に、少しでも参考になる情報を提供できれば幸いです。
適応障害とは
適応障害とは新しい環境や大きな変化にうまく適応できず、心のバランスが乱れてしまう病状を指します。適応障害により、日常生活が困難になるほどの心身の症状が現れることが特徴です。適応障害は、人間関係や職場環境の変化、大きな失敗や失恋など、生活環境の変化や人間関係のストレスが原因となることが多いです。
しかし、適応障害は必ずしも特定の人々にだけ起こるわけではありません。人間は誰しもがストレスを経験し、それに対して心が反応する生き物です。大切なのは適応障害が自分の弱さではなく、「心の反応」であると理解し、適切なケアを行うことです。
適応障害の主な症状
適応障害は、さまざまなストレス源によって引き起こされる精神的な問題で、症状は人により異なります。以下に、主な症状をまとめてみました。
- 落ち込みなどの抑うつ気分
- 動悸や焦燥感などの不安症状
- 不眠・涙が止まらないなどの症状
これらの症状は、適応障害を患っている人の中でも頻繁に見られます。しかし、上記の症状が必ずしも適応障害を示すわけではないという点を理解していただくことが重要です。もし上記の症状が見られた場合、専門的な診断を受けることをお勧めします。
また、「不眠」や「涙が止まらない」などの精神的な反応も一般的です。これらの症状は、ストレスの影響をもっとも直接的に示すものでしょう。
落ち込みなどの抑うつ気分
適応障害の主な症状の1つに、落ち込みなどの抑うつ気分があります。抑うつ気分とは、気分が落ち込んで何かをする気力がない状態です。憂鬱な気持ち・悲しみ・無気力・絶望感などの症状が現れます。適応障害を抱える人は日常生活における喜びを感じにくくなり、行動力が落ちることが多いです。適応障害による抑うつ気分は、さまざまなストレスが引き金となって発生します。常に心が重く感じ、何をするにもエネルギーが必要と感じることが特徴です。抑うつ気分が長く続くと、身体的な不調を引き起こすこともあるため、早期の対応が求められます。
動悸や焦燥感などの不安症状
適応障害の症状として動悸や焦燥感、過呼吸などの身体的な反応が現れることもあります。特に、新たな環境や人間関係の問題など、未知のストレスに直面した場合に見られることが多い傾向です。動悸や焦燥感は、ストレスが高まると脳内で恐怖心が生まれ、身体的な反応が現れます。ストレスが原因で生じる動悸は、突然心拍数が早まり強く感じる状態で、身体や心に負担を感じます。また、焦燥感は落ち着きのなさやイライラを感じる状態です。些細なことでもイライラし、感情のコントロールが難しくなることがあります。
不眠・涙が止まらないなどの症状
適応障害の心身ともにさまざまな形で表れる症状の1つが不眠です。適応障害を抱える人は、頭の中で悩みやストレスがくり返し再生されるため、心が休まることなく、結果的に眠ることが難しくなります。また、不快な夢を見てしまうこともあり、質の良い睡眠が得られないことが特徴です。
涙が止まらない症状も適応障害の1つです。涙が止まらない症状は、抑うつ症状の1つとされ、小さなことで涙が出る・理由もなく泣けてくるなど感情のコントロールが難しくなる現象を指します。症状は人により異なるため、自分自身の変化に気付き必要に応じて専門医に相談してください。適応障害は早期対処が肝心ですから、何か変だと感じたら無理せず、自分の心身の健康を優先するよう心がけましょう。
適応障害の主な原因はストレス
適応障害の主な原因はストレスです。ストレスは生活環境や人間関係など、私たちの生活における様々な要素から生じる心身の負担のことを指します。適応障害は、ストレスに対する反応が強すぎるために引き起こされる精神疾患です。具体的なストレス源には、以下のようなものがあります。
- 新しい環境に慣れる必要があるとき
- 自分の能力を強く否定されたとき
- 人間関係に問題が生じたとき
上記のようなストレスは、それぞれの人が持っている心の耐性や処理能力を超えてしまうと、適応障害を引き起こす可能性があります。ストレスそのものが過度であるか、ストレスに対して過敏である場合、日常生活が困難になるほど深刻な症状を引き起こすこともあるでしょう。
新しい環境に慣れる必要があるとき
適応障害の1つの原因として、新しい環境に慣れる必要があるときがあります。人間は基本的に習慣性の生き物で、環境の変化に適応するのは容易なことではありません。
新しい環境とは転職や引っ越し・新たな仲間関係の形成など、日常生活の中で自身の置かれた状況が大きく変わる瞬間を指します。新しい環境は、自分の順応能力を試される大きなストレス源となるでしょう。例えば、新しい仕事に就いた場合、職場でのルールや業務内容・人間関係などを一から学ぶ必要があります。知識やスキルが求められる一方で、未知の業務に直面する不安やプレッシャーも大きいため、適応障害の症状を引き起こすこともあるでしょう。
また、新たな生活環境に移る場合も同様です。新しい住まいでの生活リズムや近隣住民との人間関係など旧環境とは異なる事柄に順応する過程は大きなストレスでしょう。新しい環境に適応する過程で起こるストレスが適応障害の症状を引き起こすことも考えられます。
自分の能力を強く否定されたとき
自分の能力を強く否定されるのは、誰にとっても大変なストレスです。特に、自分の専門性やスキルに自信を持っていた場合、自己価値を大きく揺るがすことになります。自己否定感が増大し、自尊心の低下で心に大きなダメージを与えることになるでしょう。状態が続くと、適応障害の症状である抑うつ・不安・無気力などが現れます。また、能力を否定されたことによる心の負担は、他人からの評価や期待に対するプレッシャーと連動し、適応障害を引き起こしやすくします。重要なのは自分自身を厳しく評価しすぎず、失敗を経験と捉えて前に進めるマインドセットを持つことです。
人間関係に問題が生じたとき
人間関係の問題は、適応障害の原因となる大きなストレスとなります。私たちは社会生活を営む上で常に他人と関わるため、さまざまなトラブルは避けがたいことです。
例えば、職場での人間関係が複雑化しストレスが増えると、適応が困難と感じることで適応障害へと繋がる場合があります。また、恋愛関係や親子・友人間での葛藤やマウンティングも同様にストレスとなるでしょう。
対人関係の悩みは1人で抱え込みがちになりますが、自身の感情や考えを他人に理解されないと感じた場合、孤立感やストレスが押し寄せます。このような状況下では、自分1人で問題を解決しようとするほど事態は悪化するため、適切な手段で助けを求めることが重要です。
適応障害になりやすい人とは
適応障害は特定のストレスに対して誰もが反応を示す中で、それぞれの人格や環境が影響し、特に反応を示しやすい人々がいます。適応障害になりやすい人は以下のような特性を持っていると言われています。
- 真面目で責任感が強い人
- 几帳面で完璧主義な人
- 傷つきやすく落ち込みやすい人
- 心配性で他人の目が気になる人
- 頼みごとを断れず助けを求められない人
上記のような特性を持つ人々は、自分自身の感情やストレスの管理が難しく、適応障害のリスクを増大させます。これらの特性をもつ人々は、自身のストレス対処法を見直すことが大切です。
真面目で責任感が強い人
真面目で責任感が強い人は、自己のミスや期待に応えられないことへのストレスが大きく、適応障害になりやすい傾向です。責任感が強いために、一度引き受けた仕事や要求を断ることが難しく、過重なストレスに晒されることがあります。真面目な人は、自分自身に高い基準を設定し、達成するために一生懸命努力するため、周囲からの信頼や評価を得やすく、業績の向上にも貢献するでしょう。しかし、一方では自身に対する厳しい評価がストレス源となり、心身の健康を脅かす可能性もあります。
また、責任感が強い人は多くの仕事を引き受け、他人のために過度に努力する傾向です。他人から見れば信頼性の高さとして評価されますが、自分自身の負担を過大に増やす結果となり、適応障害を発症する可能性が高まります。自身が真面目で責任感が強いと感じる方は、自己管理をしっかりと行い、適度な休息を取るなどの対策が重要です。
几帳面で完璧主義な人
几帳面で完璧主義な人もまた、適応障害になりやすい人物像です。完璧を求めるあまりに自身を追い詰め、ストレスが溜まる可能性が高まります。几帳面で完璧主義な人々は、自分に厳しく、常に全てを完璧に仕上げることを求める傾向です。自己の完璧さを追求し過ぎて、些細なミスも許せなくなった結果がストレスとなり心の負荷となります。几帳面な性格や完璧主義的な傾向がある人は、自分自身に対して少しゆとりをもつことや完璧を求めすぎずに良い結果を受け入れることが大切です。自分の人格を知って工夫するとストレスを感じにくい生活を送ることができ、適応障害になりにくくなるでしょう。
傷つきやすく落ち込みやすい人
適応障害になりやすい人の特徴として、傷つきやすく落ち込みやすい人が挙げられます。傷つきやすく落ち込みやすい人は、自身の感情が他人に比べて敏感で、些細な出来事でも深く心にとめてしまいます。一般的に他人の反応や評価に強く反応し、否定的な評価や批判を自分自身への否定と捉えてしまう傾向があるため、ストレスを感じやすく気持ちが落ち込むことが多いです。また、自身の自己評価が低いため、自分自身に対する信頼感が薄れ、ストレス耐性が低くなってしまうこともあるでしょう。傷つきやすく落ち込みやすい人は、このような特性を持つ人であることを認識し、適切なケアを受けることが重要です。
心配性で他人の目が気になる人
心配性で他人の目が気になる人は、自分自身が常に他人から見られていると感じて評価を気にし過ぎるため、適応障害になりやすい傾向です。自分自身の行為や発言が他人からどう評価されるのかを常に気にしているため、ストレスを感じやすくなります。対人関係において過剰に配慮する・他人の反応を過度に気にする・自己評価が低下するなどの症状がみられるでしょう。
頼みごとを断れず助けを求められない人
適応障害になりやすい人の中には、頼みごとを断れず助けを求められない人が挙げられます。主に、自己主張が苦手な人や他者からの評価を極度に気にする傾向のある人です。彼らは他人からの要求を断りきれず、自己の感情や体調を犠牲にしてまで応えようとする傾向です。そのため、自分自身の心身の負荷が増大し、適応障害を引き起こすリスクが高まります。
また、自分の問題を他人に頼むことや助けを求めることが苦手であるため、ストレスが溜まっても長い間1人で抱え込んでしまうでしょう。このような人々は、自己主張や他人への頼み方を学ぶことで、適応障害のリスクを減らすことが可能です。
適応障害の治療方法
適応障害の治療方法は、患者の状態やストレスの原因により異なります。以下では主な治療方法をご紹介します。
- ゆっくり休養する
- ストレス要因となる環境から離れる
- カウンセリング・認知行動療法で気持ちを整理する
- 精神科や心療内科に相談する
適応障害は個々のストレスや性格などによって症状や進行が異なるため、自分自身に最適な治療方法を見つけることが大切です。以下でそれぞれの項目を詳しく解説します。
ゆっくり休養する
第一に、ゆっくりと休養しましょう。適応障害は、心と体の双方が疲れている状態であることが多いため、まずは日常生活のペースを落として自身の感情と向き合う時間を持つことが大切です。家事を1つ減らすことだったり、仕事を減らすことだったり、人それぞれ適応障害に対する対処法は異なります。また、心身のリラクゼーションを促すため、音楽を聴く・読書をする・散歩をするなど、自分自身がリラックスできる活動を見つけて行うのも良いでしょう。しかし、休養期間も長過ぎると逆効果になることもあります。休むことが恒常的になり、社会から孤立する可能性もあるためです。そのため、休養が必要な期間や休養の方法は専門家へ相談してください。
ストレス要因となる環境から離れる
ストレス要因となる環境から離れることも有効な手段です。原因となるストレスを取り除くことで、心身の回復が促進されます。例えば仕事が原因であれば一時的に休職を考える、人間関係が原因であれば関わりを一時的に減らすなどが考えられます。逃げることが解決策とは限らないことも理解しつつまずは一度、ストレスから身を守ることが大切です。
また、可能であれば自然豊かな場所へ移動すると良いでしょう。自然が持つ癒しの力により、心のリラクゼーションが期待できます。リラクゼーションは、心身の健康回復を助け、適応障害の症状軽減に役立ちます。
しかし、すぐに環境を変えることが難しい場合は、1日に数時間でもストレスから解放される時間を設けることが重要です。例えば、趣味に没頭する時間や静かな場所でリラックスする時間を作ってください。ストレス要因となる環境からの一時的な離脱やリラクゼーションは、適応障害の症状を和らげる助けとなります。
カウンセリング・認知行動療法で気持ちを整理する
専門家によるカウンセリングや認知行動療法も有効です。カウンセリングや認知行動療法は自分自身の感情や思考パターンを理解し、対処する力を養うためのものです。カウンセリングでは専門家と対話を重ねることにより、患者さん自身が抱える問題やストレスの源を明らかにします。抱える問題に対してどのような思考パターンや感情が引き起こされているのかを理解します。一方、認知行動療法(CBT)は、ストレスや問題に対する思考のパターンを柔らかく解きほぐし、自由に考え行動するのに有効です。新しい視点で物事を捉える力を身につけることで、適応障害の症状が軽減され、前向きな気持ちへと導くことができます。カウンセリングや認知行動療法は、主に心理カウンセラーや精神科医によって提供されます。自己理解や自己肯定感を高める効果もあるため、自身の心の健康を維持するための日々の取り組みにもなります。一人で抱え込むのではなく、適切な援助を求めることが大切です。
精神科や心療内科に相談する
精神科や心療内科での診療も考えられます。精神科では、適応障害の専門医が多く在籍しており、症状の深刻さや病状の進行度合いによっては、薬物療法を含む対策を提案してくれるでしょう。また、心療内科では身体的な症状に対しても対応可能な医師が診察を行います。適応障害は心の問題だけでなく、身体的な症状も伴うため選択肢として有効です。無理に自己解決を試みず、専門家への相談を積極的に行うことが、早期の改善につながります。自分一人で抱え込まないで、まずは専門の医師に相談しましょう。
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まとめ
今回は適応障害の主な症状や原因・適応障害になりやすい人の特性・適応障害の治療方法をご紹介しました。適応障害はさまざまなストレスが原因で生じる心の病で、抑うつ気分や不安・不眠などの複数の症状が現れます。特に、人間関係や新たな環境への適応・自己評価の低下など、日常的な生活環境が大きく影響します。まずは十分な休養を取ってください。さらに、ストレス源から距離を置き、カウンセリングや認知行動療法を通じ自身の感情を理解し整理しましょう。適応障害は適切な対処で改善が見込まれる疾患です。正しい対処方法を知ることで、健やかな心の状態を取り戻し、日々の生活を豊かに送ることが可能となります。
みつだクリニックは、心理士によるカウンセリングも実施しています。あなたの今抱えている不調や不安を解決する方法を、一緒に考えていきましょう。あなたの心の健康を守るための一歩として、適切な治療方法を選ぶことの大切さを心に留めていただければと思います。