社会不安障害とパニック障害の違い|こころの病気について詳しく知ろう
現代社会はストレスが多く、どんな方でもふとしたタイミングで不安障害におちいってしまう可能性があります。不安を感じること自体は自然な行動ですが、生活を脅かすほど不安が強い場合は適切な治療が必要です。社会不安障害やパニック障害は日常生活を送るなかで「怖い」と感じるほどの不安症状が出る疾患ですが、心療内科などに相談・治療をすれば改善できます。
この記事では、社会不安障害とパニック障害の違いや治療方法について詳しくご紹介します。それぞれの病気の症状や治療法を詳しく知って、少しずつ改善していきましょう。
社会不安障害とパニック障害の違いとは
社会不安障害とパニック障害は重なる部分が多いこころの病気ですが、ともに「不安障害」の一つです。人間ならば生活のなかで不安を感じるのは当たり前で、不安があることで危険を回避できるなどのメリットもあります。不安障害になると、その不安が自分でコントロールできないほど過剰になり、生活に支障をきたしてしまうのです。
社会不安障害は、対人関係の場面(注目される・人前で失敗するなど)によって過剰に緊張してしまいます。
パニック障害は、場面にかかわらず息苦しさや動悸・めまいなどのパニック症状を起こし、その症状が理由で生活に支障をきたしてしまう病気です。
社会不安障害の症状
社会不安障害はその名の通り、社会(対人)の場面で症状を起こす病気です。人前に出ようとするとひどく緊張し、ふるえ・めまい・息苦しさ・多汗・ほてり・口の渇き・頻尿または尿が出ないなど、さまざまな症状が見られます。その症状への怖さや不安のあまりパニック発作を起こすこともあり、うつ病やパニック障害と併発するケースも多いです。
社会不安障害にはある特定の状況で症状が見られる「限局型」と、いつでも症状が起こりうる「全般型」にわかれます。こういった恐怖から日常生活に支障をきたす場合は、適切な治療が必要です。
パニック障害の症状
パニック障害は特に体に異常がないのに、突発的にパニック発作を起こしてしまう病気です。発作から強い不安を感じ、社会生活に支障をきたしてしまいます。パニック発作は過換気症候群や甲状腺疾患、不整脈など別の病気でも起こりうるので、慎重に検査をして見わける必要があります。パニック障害の主な症状は以下の通りです。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
パニック発作
パニック障害の大きな特徴は、突然起こるパニック発作です。社会不安障害のように環境条件とは関係なく、前触れなく激しい動悸やふるえ・めまい・冷や汗・息苦しさ・寒気・ほてりなどさまざまな症状の発作がくり返し起こります。死を意識するような激しい症状もありますが、発作自体は20〜30分程度でおさまり1時間以上続くことはほぼありません。パニック発作は精神的な疾患なので、医療機関で血液検査などをしても異常が見つからないケースが多いです。
予期不安
パニック障害で起きるさまざまな身体的症状は、「予期不安」という精神的な症状を引き起こします。予期不安とは、自分のパニック症状から過度な心配をして社会生活に支障をきたしてしまうことです。パニック発作には息苦しさや動悸などの激しい症状があり、自分の体をコントロールできない感覚に囚われます。したがって、「このまま死ぬのではないか?」「恐ろしい病気なのでは?」などと強い不安を抱いてしまうのです。
何度も発作をくり返すため、「また発作を起こしたらどうしよう?」と不安になり社会生活がしづらくなってしまいます。
広場恐怖
特定の環境でパニック発作を起こすと、「広場恐怖」という状態になる方もいます。広場恐怖とは公共の場や助けてもらえない・逃げ出せない状況でパニック発作を起こした経験から、パニックを起こした場所へ恐怖で行けなくなる症状です。
「また発作が起きたらどうしよう?」と不安になり、通勤・通学の電車やバスにも乗れなくなってしまいます。抜け出しづらい会議中やトンネル、人ごみ、美容院、歯医者などの条件でも起きることがあるでしょう。ひどくなるとほとんどの場所が怖くなり、自宅の周辺しか歩けないなど、行動が制限されてしまいます。
社交不安障害やパニック障害に使われる薬
社会不安障害やパニック障害は、心療内科や精神科を受診すれば改善できる症状です。こういった症状は、脳で「恐怖」をつかさどる扁桃体の過剰活動から起こります。症状の緩和には薬剤も有効とされており、認知行動療法などとあわせて用いられます。
本項目では、現在日本で処方されているいくつかの薬剤について見ていきましょう。
抗不安薬
即効性がある薬剤は、ベンゾジアゼピン系と言われる抗不安薬です。抗不安薬はすぐに不安を和らげてくれるので、発作が起きたときにすぐ服用すればパニック発作を抑えられます。「発作が起きても、この薬を飲めば大丈夫だ。」と安心できるので、持ち歩いているだけで精神安定剤となってくれるでしょう。ただし抗不安薬は眠気が強く表れ、一部の薬には依存性もあるため必要時は医師と相談の上服薬しましょう。抗不安薬は発作の回数が少なく症状が軽い方に向いており、長期的な治療には抗うつ薬を使う方が良いでしょう。
抗うつ薬
うつ病の治療に使われる抗うつ剤も有効です。うつ病にも共通する点ですが、脳の機能障害で起きている恐怖症状には、「セロトニン」という物質が大きく関係しています。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれる脳の神経伝達物質の一つで、「幸福感や気持ちの安定」を感じやすくしてくれるものです。セロトニンを脳内で伝達しやすくするためには、主に「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」などが処方されます。この薬剤は効果が出るまでに1ヶ月ほどかかるため、長期的な治療に向いているでしょう。ただし、吐き気などの副作用を感じる場合もあります。
βブロッカー
激しい動悸を抑えてくれるのが、「βブロッカー(ベータ遮断薬)」です。不安が高まり緊張をすると、自律神経の交感神経が活発化することで動悸や血圧の上昇が起きます。βブロッカーは交感神経の「β1受動体」に作用し動悸・頻脈を整え、パニック発作のドキドキする状態を抑えてくれます。高血圧や不整脈、心筋梗塞や狭心症などにも使われるお薬です。
薬を使わない認知行動療法とは
薬剤には副作用や依存の可能性もあり、抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか。心療内科や精神科では、薬を使わない治療「認知行動療法」も活用されています。認知行動療法とは「認知(物のとらえ方や考え方)」にアプローチし、ストレスを軽減していく方法です。人間はある物事が起きると、無意識に考えが浮かびます。不安障害の強い方は現実とは違う悲観的な思考をしがちで、そのずれが不安障害を引き起こしてしまうのです。認知行動療法は考え方の癖を修正するという治療方法なので、社会不安障害やパニック障害だけでなくさまざまな精神疾患に適用できます。
認知行動療法のメリット
薬剤以外の治療法「認知行動療法」は、考え方にアプローチします。薬剤はどうしても副作用が出る場合がありますが、認知行動療法つらい副作用がないだけでなく、この先の生活自体を変えてくれる可能性がある治療法です。
- ストレスが軽減され精神疾患が改善できる
- 認知のゆがみを改善できる
- 精神疾患の再発予防になる
本項目では、認知行動療法のさまざまなメリットについて見ていきましょう。
ストレスが軽減され精神疾患が改善できる
精神疾患を持っている方は、認知の仕方が現実とずれていることで、ストレスを溜め込んでしまいます。認知行動療法では自分は何に不安や恐怖を感じているのかを明らかにし、その対応の仕方を身につけていきます。物の見方が変われば今までストレスに感じていたことが徐々に減っていくので、自然と精神疾患が改善されるでしょう。
社会不安障害やパニック障害だけでなく不眠症や摂食障害など、認知のずれが引き起こしているさまざまな精神疾患にも良い効果があります。
認知のゆがみを改善できる
精神疾患を引き起こす方には、認知の仕方がネガティブにゆがんでいる傾向があります。
例えば「誘いを断られた」という出来事があったとして、認知が偏っていると「自分は嫌われている」など極端な思い込みをし、どんどん悪い方向へ発想を展開してしまいます。認知行動療法ではそのとらえ方の偏りを修正していくので、ネガティブな考えに囚われず前向きな行動を選べるようになるでしょう。
精神疾患の再発予防になる
上記でもご紹介したように、社会不安障害やパニック障害は、認知のずれから発展する病気です。薬剤などを使って一度回復したように思われても、すぐに再発する可能性があります。認知行動療法は、時間をかけて「考え方」を変えることを目的とした治療法です。自分に起きた出来事への対処法や不安の受け止め方を学べるので、根本的な改善に役立つでしょう。治療後は安定した心で過ごせるようになるので、精神疾患の改善だけでなく再発予防につながります。
社交不安障害やパニック障害にお悩みの方はみつだクリニックにご相談ください
「自分は社会不安障害やパニック障害かも……?」と不安に思ったときは、みつだクリニックにご相談ください。みつだクリニックは社会不安障害・パニック障害をはじめ、うつ病・不眠症・HSP・発達障害などまで幅広く治療を行っている精神科・心療内科です。クリニックには医師・看護師・精神保健福祉士・心理士などが在籍し、ひとりひとりに向き合った治療を行っています。カウンセリングも行っているので、「イライラ・落ち込み・眠れない」など生活のなかで気になることがあれば、まずは早めにご相談ください。
クリニックはJR茨木駅の目の前と通いやすく、電話やHPからすぐに予約ができます。診察は予約制ですので、初診・再診ともに事前のご予約をお願いいたします。
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まとめ
不安障害の一つ、社会不安障害やパニック障害の症状や治療法をご紹介しました。これらの病気の症状は動悸や息苦しさなど、強い恐怖を伴います。さまざまな恐怖から、「原因がわからない」「いつ直るんだろうか」とさらなる不安を募らせてしまう方も多いでしょう。
社会不安障害やパニック障害などの不安障害は、心療内科や精神科で適切な治療をすれば改善できるものです。薬に抵抗があれば、認知行動療法で考え方を変える方法もあります。話を聞いてもらえる場があるだけでも心は楽になるものです。みつだクリニックは、あなたのこころの悩みに寄り添って症状改善までサポートいたします。