認知行動療法とは?具体的な進め方やセルフケア方法を紹介
「最近気分が落ち込みやすい。」「不安な気持ちがずっと続いている。」こんな悩みはありませんか?ストレスの多い現代社会では、心の不調を感じる人も多いはずです。そこで注目されているのが、「認知行動療法」です。認知行動療法とは、「考え方(認知)」や「行動」のパターンを見直しストレスや悩みへの対処を目指す心理療法です。認知行動療法が効果的とされる疾患やメリット、セルフケアの方法などを紹介します。
認知行動療法(CBT)とは?
認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)とは、「考え方(認知)」と「行動」の両方に注目し、それらを少しずつ変えていくことで気持ちを和らげる方法です。
人の気持ちは、出来事そのものよりもその出来事をどのようにとらえ、どのように行動するかで大きく変わります。考え方やパターンを整理したうえで、それを見直し行動を工夫することで、ストレスや不安を減らしていくアプローチです。
認知療法とは?
認知療法とは、物事の捉え方や考え方に注目し、偏った認知をより柔軟で現実に沿ったものに整えていく心理療法です。
例えば、仕事でミスをしたときに「自分は何をやってもダメだ」と思う人もいれば、「次は繰り返さないようにしよう」と思う人もいます。同じ出来事でも、受け止め方によって生じる感情やその後の行動は異なります。認知療法では、自分を縛っている考え方を見直しストレスの軽減を目指します。
行動療法とは?
行動療法とは、行動に働きかけることで困りごとや不安の解消を目指す心理療法です。
例えば、不安を感じる場所を避け続けていると、一時的には安心できてもその状況に対する不安がさらに強くなることがあります。そのような場合は、無理のない範囲で段階的にその状況に慣れさせていくことで、不安への対処法を見つけていく方法など、目的や状況に応じたさまざまな方法があります。
認知行動療法が効果的とされる症状・疾患
認知行動療法は、どんな症状や疾患に効果があるのでしょうか?
効果があるといわれている主な疾患は、以下の通りです。
- うつ病や抑うつ状態
- 強迫性障害
- 社交不安障害
- PTSD(心的外傷後ストレス障害)
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
うつ病や抑うつ状態
うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下といった精神症状と、不眠や食欲の低下、疲れやすさなどの身体症状が現れる病気です。
うつ病や抑うつ状態になると、「自分には価値がない」「何をしてもうまくいかない」など否定的な考えに偏りやすくなることがあります。認知行動療法では、つらい気持ちになったときの感情や考えを整理し、その考えが事実とどの程度一致しているのかなどを考えます。
さらに詳しいうつ病の特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。
『うつ病の特徴とは?こころと身体に出る症状や睡眠障害を詳しく紹介』
強迫性障害
強迫性障害とは、不安やこだわりが過度になり、特定の考えが頭から離れず、それを打ち消そうとする行為を何度も繰り返してしまう病気です。頭から離れない考えを「強迫観念」、繰り返す行動を「強迫行為」といいます。
強迫観念による不安に段階的に向き合いながら、強迫行為を減らしていく方法である「暴露反応防衛法」が代表的な認知行動療法です。
強迫性障害のセルフチェックリストは、以下の記事で紹介しています。
『強迫性障害のセルフチェックリスト。なりやすい人の特徴や治療法も紹介』
社交不安障害
社交不安障害とは、人前で話したり注目されたりする場面で、強い不安や恐怖を感じる病気です。他人に否定的に評価されることを過剰に恐れ、そうした状況を避けようとする回避症状が特徴です。
認知行動療法では、不安を感じた状況やそのときに浮かんだ考え、行動などを整理してネガティブな思い込みを現実的に捉え直し、不安に対する反応を見直していきます。
社交不安障害の診断基準については、以下の記事で紹介しています。
『社交不安障害の診断基準とは?診断されたときの対処法を解説』
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
PTSDは、事故や災害、暴力など強い衝撃や恐怖を伴う経験をした後に発症する可能性がある病気です。つらい記憶が突然よみがえる、悪夢を見る、関連する場所や状況を避けるなどの症状が続きます。
認知行動療法では、安全を確保したうえで段階的にトラウマに関連する考え方や感情、行動を整理し、心身のコントロールを取り戻す療法を行います。つらい記憶を扱う場合が多いため、自己流で無理に向き合うのではなく、専門家と一緒に進めることが大切です。
認知行動療法って実際はどんなことをするの?
認知行動療法では、医師や心理士、カウンセラーなどとの面談を通じて、抱えている問題の改善につながる方法を一緒に考えていきます。
期間は相談内容により変わりますが、面談は複数にわたり5〜20回程度行うことが多く、面談だけでなく自身で取り組むホームワークも並行して進めていくケースが多いです。
基本的な流れを紹介します。
- ストレスや悩みの仕組みを知る
- 問題が起きる状況やその時の考え、感情などを整理する
- 考え方のクセやパターンを振り返る
- 自動思考と現実とのズレに注目して見方を変える練習をする
- 問題を改善する方法の練習を行う
それぞれについて詳しく解説します。
ストレスや悩みの仕組みを知る
まずは、どんなストレスや悩みに困っていて、それがどんな仕組みで生じて続いているのかを理解していきます。
例えば、「仕事で注意された」という出来事に対して、「自分は仕事ができない」と考えると、落ち込みや不安が強くなり仕事を避けるようになることがあります。このような関係性を理解するのが、問題を整理する第一歩となります。
問題が起きる状況やその時の考え、感情などを整理する
次に、どのような状況でつらさやストレスを感じるのか、そのときに何を考えて感情や身体、行動にはどんな変化があったのかを整理します。
認知行動療法では、ある状況に直面したときの「思考・感情・行動・身体反応」などはそれぞれ影響し合っていると考えます。それらを観察し具体的に振り返ることで、何をしたら状況が変わりそうかを考えやすくなります。
考え方のクセやパターンを振り返る
次に、ある出来事が起きたときに自分がどのように考えやすいかを振り返ります。
人にはそれぞれ、無意識に行っている考え方のクセやパターンがあります。自動的に頭に浮かぶ考えを「自動思考」と呼びます。自動思考は意識しなくても自然に浮かぶため、自分ではその考え方のクセに気付いていないこともあります。
どのような場面でどのような自動思考が生じやすいのかを整理し、考え方のパターンを客観的に把握していきます。
自動思考と現実とのズレに注目して見方を変える練習をする
自動思考や考え方のパターンを把握したら、その考えが現実とどの程度一致しているのかを考えます。
例えば、友人からメッセージの返信が来ない時に「嫌われた」と思ったとしても、実際には仕事中だった、返信する時間がなかったなど、他の可能性も考えられます。このような事実と考えのズレに注目し、一つの考え方に捉われず他の見方を考える練習をしていきます。
問題を改善する方法の練習を行う
考え方を整理したら、実際の問題を改善するための行動も練習します。
例えば、対人関係の悩みであれば、自分の気持ちを相手に伝える練習をすることもあります。無理なく実行できる計画を立てて、日常生活の中で実践し、結果を振り返るというプロセスで新たな循環を身につけていきます。
認知行動療法のメリット
では、認知行動療法に取り組むとどんなメリットがあるのでしょうか?
主なメリットを紹介します。
- 自分の思考や行動のパターンに気づける
- ストレスや悩みに対処する方法を身につけられる
- 日常生活の中で実践しやすい
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
自分の思考や行動のパターンに気づける
問題が起きた状況で、何を考えどのように行動したのかを具体的に振り返ることで、自分の思考や行動のパターンに気付きやすくなります。
日常生活の中では、自分の考え方や行動を客観的に振り返る機会はあまりありません。記録したり、専門家と一緒に整理したりすることで、自分一人では気付かなかった考え方のクセを知ることができる良い機会になります。
ストレスや悩みに対処する方法を身につけられる
現在抱えている問題への対処法だけでなく、今後似た状況になったときに対処するための方法を学べることもメリットの一つです。
自分を苦しめている考えを客観的に見てみる、問題を細かく分解して考える、気分が晴れる行動を考えるなど、さまざまな方法を考えていきます。
自分に合った対処法が見つかることで、ストレスや悩みに直面したときに取れる選択肢を増やすことができます。
日常生活の中で実践しやすい
認知行動療法では、実際の生活の中で起こった出来事を題材として扱います。
落ち込んだときの状況や考えを書き出す、日々の気分や行動を記録する、小さな行動目標を設定するなど、さまざまな方法を一緒に考えていきます。日常生活に取り込みやすい方法を見つけていくので、その後の生活でのストレスや不安を和らげることにつながります。
認知行動療法を受ける方法
まずは、精神科や心療内科などの医療機関で診察を受けて、主治医の判断で院内外の認知行動療法の専門家につながるケースが多いです。
ただし、どこの医療機関でも必ず認知行動療法を受けられるわけではありません。認知行動療法を受けられる医療機関でも、機関によって対象となる疾患が異なる場合もあります。
ご自身が認知行動療法を受けられるかどうか、費用、保険適用の有無などは、クリニックのホームページや電話などで問い合わせてみましょう。
認知行動療法はセルフでもできる?
認知行動療法は、セルフケアとして行うことも可能です。
ただし、セルフケアですべての症状を改善できるとは限りません。症状が強い場合や、日常生活に支障をきたしている場合などは、医療機関への相談を検討しましょう。
ここからは、一人でも取り組みやすい認知行動療法を2つ紹介します。
それぞれについて、詳しく説明します。
コラム法
コラム法では、気持ちが大きく動いた出来事やそのときの考えなどを書き出し、さまざまな角度から状況を見直していきます。自動思考に注目して、事実を確認しながらより柔軟な考え方を探していく方法です。
コラム法では、主に次のような内容を書き出します。
- 状況
気持ちが大きく動いた出来事をできるだけ具体的に書き出します。
- 気分
そのときの感情(不安、悲しい、腹立たしい等)とその強さをパーセンテージで表します。
- 自動思考
そのときに瞬間的にパッと浮かんだ考えをそのまま書き出します。
- 根拠
浮かんだ自動思考がなぜ事実だと思えるのか、その理由や根拠を書き出します。
- 反証
自動思考が事実ではないかもしれないと思える、反対の証拠を探して書き出します。
- 適応的思考
集めた事実をもとに、より現実的でバランスの取れた別の見方ができないか考えます。
- 気分の変化
別の考えに至った後の今の感情を、再度パーセンテージで表します。
行動活性化
行動活性化とは、気分が良くなるのを待ってから行動するのではなく、動くことで気分を上げるというアプローチ方法です。無理のない小さな行動を計画し、実際に取り組みながら気分の変化を確認していきます。
行動活性化は、主に以下のようなステップで進めていきます。
- 気分と行動を記録する
1日の中で何をしていたか、それぞれの行動の際どんな気分だったかを書き出します。
- 小さな行動目標を決める
達成できそうな小さな一歩を目標に設定することが大切です。
- 行動計画を立てる
行動の具体的な内容・時間・場所を決めていきます。
- 行動を実行して記録する
行動したら、やる前の気分とやった後の気分をそれぞれ記録します。
- 少しずつ行動量を増やす
慣れてきたら、行動の時間や種類を増やしていきます。
セルフケアだけで改善しないときは専門家に相談しましょう
コラム法や行動活性化などのセルフケアは、自分の考えや行動を整理するために役立ちます。
ただし、自分一人では考え方の偏りに気付きにくい場合や、症状が強くセルフケアに取り組むこと自体が難しい場合もあります。そんなときは、精神科や心療内科で専門家のサポートを受けることをおすすめします。
認知行動療法による治療はみつだクリニックへ
みつだクリニック公式サイトはこちら
気分の落ち込みや不安、強いストレスなどの症状があり、認知行動療法を検討している場合は、みつだクリニックへご相談ください。
心の不調や症状は人によって異なるので、専門家による診察やカウンセリングを経て、適切な治療方法を検討することが大切です。
セルフケアを試しても改善しない、つらい気持ちが続いている、日常生活へ支障をきたしているという方は、早めに専門家に相談するようにしましょう。
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まとめ
認知行動療法は、自分の考え方や行動パターンを整理し、ストレスや悩みへの対処法を身につけていく心理療法です。うつ病や強迫性障害、社交不安障害、PTSDなどの治療に用いられるほか、コラム法や行動活性化などセルフケアとして取り入れることもできます。
ただし、症状の程度や内容によって適した治療方法は異なります。強いストレスや不安を感じている場合は、一人で抱え込みすぎず、プロへの相談を検討しましょう。