うつ病のチェック方法|セルフチェックリストや対処法を紹介
うつ病は心の風邪とも言われ、誰にでも起こりうる身近な病気です。しかし、自分がうつ病かどうかを判断するのは難しいものです。
そこで本記事では、自分でうつ病をチェックする方法やセルフチェックリストについて詳しく解説します。
うつ病は放置すると悪化しやすいため、早期発見・早期治療が大切です。「なんだか最近調子が悪い」「気分が落ち込む」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
自分でうつ病をチェックする方法は?
自分でうつ病をチェックするには、以下のようなチェック表を活用するのがおすすめです。
- 厚生労働省の「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」
- ベック抑うつ質問票
- ツァン自己評価式抑うつ尺度
これらの質問票は、うつ病の症状に関する質問に対して、患者さんが自分の状態を振り返って回答するものです。回答結果から、うつ状態の重症度を評価できます。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
厚生労働省の「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」
厚生労働省の「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」は、うつ病の重症度を評価するための自己評価式の質問票です。医療機関で使用されるだけでなく、自分でうつ病の可能性をチェックするためにも活用できます。
この尺度は、DSM-IV(精神疾患の診断・統計マニュアル第4版)の大うつ病性障害の診断基準に基づいて作成されており、信頼性と妥当性が確認されています。
うつ病ネット|セルフチェックなどでチェックできるので活用してみましょう。
ベック抑うつ質問票
ベック抑うつ質問票は、うつ病の症状の重症度を評価する自己記入式の質問票です。抑うつ評価尺度として世界的に広く使用されており、抑うつ症状の重症度を短時間で評価できます。
全21項目からなり、合計点が高いほどうつ病の可能性が高いとされています。
こちらも信頼性と妥当性が確認されており、自身のうつ病の重症度をチェックできます。
ツァン自己評価式抑うつ尺度
ツァン自己評価式抑うつ尺度は、20の質問項目からなるうつ病のセルフチェックリストです。日本国内の心療内科で広く用いられています。
ただし、これらのチェックリストはあくまでもスクリーニングツールであり、診断を確定するためには、精神科医や心療内科医による診察が必要です。
チェックリストの結果、うつ病の可能性が高いと判断された場合は、早めに専門医に相談することが大切です。適切な治療を受けることで、うつ病の症状は改善が期待できます。
うつ病のセルフチェックリストを紹介
うつ病には心と体の両面に症状が現れます。以下のセルフチェック項目で、自分の状態を確認してみましょう。
カラダ編とココロ編に分けてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
うつ病のセルフチェック項目【カラダ編】
うつ病の症状はこころだけでなく、からだにも現れます。
◻︎疲れやすく、倦怠感がある
◻︎食欲の低下または過食
◻︎睡眠障害(不眠、または過眠)
◻︎集中力や注意力の低下
◻︎体重の減少や増加(食欲の変化を伴う)
◻︎慢性的な下痢や便秘
◻︎動作や話し方が遅くなる
◻︎落ち着きがなくソワソワする
◻︎頭痛、肩こり、腰痛などの身体的不調が続く
◻︎生理不順や性欲の減退
◻︎アルコールや薬物の過剰摂取
上記11項目のうち、5つ以上当てはまった場合はうつ病の可能性を考える必要があります。これらの症状はうつ病特有の症状とは限りませんが、複数の症状が組み合わさって現れる場合は注意が必要です。
また、うつ病の身体症状は、他の身体疾患と見分けがつきにくいことがあります。症状が続く場合は、内科的な疾患の可能性も視野に入れて、医療機関を受診することが大切です。
うつ病のセルフチェック項目【ココロ編】
次に、こころに現れるうつ病の症状について確認していきましょう。
◻︎自己評価が低下する
◻︎自分を責め、自己嫌悪に陥る
◻︎将来に対して悲観的になる
◻︎イライラする、怒りっぽくなる
◻︎気分の落ち込みが続く
◻︎悲しみや絶望感を感じる
◻︎わけもなく涙が出る
◻︎何事にも興味や関心、喜びを感じにくい
◻︎気力が低下し、何をするのも面倒に感じる
◻︎集中力が低下し、物事に集中できない
◻︎死について考え、自殺念慮を抱く
◻︎罪悪感や罰を受けているような感覚がある
◻︎優柔不断になり、物事を決められない
◻︎孤独感や疎外感を感じる
◻︎周囲の出来事が自分と関係ないように感じる
上記15項目のうち5つ以上当てはまり、不安な状態が続く場合は、うつ病の可能性があります。全て当てはまるような場合は、速やかに専門医に相談することをおすすめします。
ただし、セルフチェックはあくまで補助的な役割であり、うつ病の診断には医療機関での診察が不可欠です。
チェックリストを活用して早期発見、早期治療しよう
うつ病のセルフチェックリストは、自分の状態を把握するための有用なツールです。しかし、うつ病と似た症状を示す他の精神疾患もあることを知っておく必要があります。
例えば、双極性障害は、うつ状態とそう状態を交互に繰り返す病気です。適応障害は、ストレスフルな出来事に対する反応として、うつ症状が現れる病態です。不安障害では、過度の不安や心配が特徴的ですが、うつ症状を伴うこともあるでしょう。
このように、うつ病と似た症状を示す病気は複数存在するのです。したがって、セルフチェックリストでうつ病の可能性が高いと判断された場合でも、それが他の精神疾患である可能性を考慮に入れておく必要があります。
セルフチェックリストはあくまでも自分の状態を知るための第一歩であり、診断を確定するためには専門医による診察が不可欠です。チェックリストの結果にかかわらず、気になる症状が2週間以上続く場合は、早めに精神科医や心療内科医に相談することをおすすめします。
適切な診断と治療を受けることで、うつ病だけでなく、他の精神疾患も改善が期待できます。セルフチェックリストを活用して自分の状態を知り、早期発見・早期治療につなげていきましょう。
うつ病の特徴や原因については以下の記事で詳しく解説しています。うつ病にお悩みの方はぜひご覧ください。
『うつ病が治らない原因とは?治療方法について詳しく紹介』
『うつ病の特徴とは?こころと身体に出る症状や睡眠障害を詳しく紹介』
チェックリストで該当項目が多かった場合の対処法
チェックリストで該当項目が多かった場合は、セルフケアを実践してみてください。なかなか改善しない場合は、専門医へ相談しましょう。
本項目では、詳しいセルフケア方法や、専門医へ相談するメリットなどをご紹介します。
セルフケア
うつ病のセルフチェックで該当項目が多かった場合は、まずはセルフケアに取り組むことが大切です。生活習慣の改善やストレス軽減を心がけることで、うつ症状の改善が期待できます。生活習慣の改善やストレス軽減方法としては、以下のようなものが挙げられます。
生活習慣の改善
- 規則正しい生活リズムを心がける(起床・就寝時間を一定にする)
- バランスの取れた食事を心がける(欠食を避け、栄養バランスに配慮する)
- 適度な運動を取り入れる(ウォーキングや軽い筋トレなど)
- 十分な睡眠時間を確保する(7〜8時間の睡眠を目安にする)
- アルコールや喫煙を控える
ストレス軽減方法
- リラックスできる趣味や活動を見つける
- 気分転換に外出や旅行を取り入れる
- 友人や家族と話をして気持ちを共有する
- ストレッチやヨガ、瞑想などでリラックスする
- 森林浴やガーデニングなど自然に触れる機会を持つ
セルフケアを続けても症状が改善しない場合や、日常生活に支障が出るほどの症状がある場合は、専門医への相談が必要です。
専門医への相談
不安やストレス症状が続く場合は、早めに専門医に相談することが大切です。うつ病のセルフチェックで該当項目が多かったり、不安感やストレス、倦怠感によって憂うつな状態が2週間以上続くときは、心療内科や精神科への受診をおすすめします。
うつ病は早期発見・早期治療が重要であり、適切な治療を受けることで多くの場合は症状の改善が期待できます。しかし、自分でうつ病かどうかを判断するのは難しいものです。専門医による診断と治療方針の提案は、回復への第一歩となります。
うつ病にお悩みの方はみつだクリニックにご相談ください
みつだクリニックでは、精神科・心療内科の診療を行っております。薬物療法、精神療法、認知行動療法など、エビデンスに基づいた治療を行います。
専門の心理師によるカウンセリングを実施しておりますので、学業や生活、人間関係などでの悩みや適応上の課題を持つ方、うつ病の症状にお悩みの方はぜひご相談ください。
早めの相談が、うつ病からの回復の近道です。一人で抱え込まず、専門家に相談することから始めてみませんか。みつだクリニックは、あなたの心の健康をサポートいたします。
診察は予約制となるため、初診・再診ともに事前のご予約をお願いいたします。予約は以下のページから簡単に行えます。内容を確認したうえで、担当者よりメールまたはお電話をさせていただき、予約完了となります。
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うつ病に関するよくある質問
最後に、うつ病に関するよくある質問にお答えします。
- うつ病の人がとる行動は?
- うつ病になると喋り方も変わる?
- 人前では明るくてもうつ病の可能性はある?
それぞれの疑問について詳しく見ていきましょう。
うつ病の人がとる行動は?
うつ病の人は、心身の不調からさまざまな特徴的な行動をとることがあります。家族やパートナーなどに以下のような行動が見られる場合は、うつ病の可能性を疑ってみましょう。
- 外出を避け、家に閉じこもりがちになる
- 仕事や学校に行けなくなる
- 食欲が低下し、やせてくる
- 体調不良を訴え、病院通いが増える
- 趣味や楽しみにしていたことへの興味を失う
- 昼夜逆転している
- 身だしなみを整えられなくなった
- 家族や友人との会話や連絡を避けるようになる
このようなうつ病特有の行動が続く場合は、専門家に相談することをおすすめします。適切な治療を受けることで、これらの行動は改善に向かうでしょう。
うつ病になると喋り方も変わる?
うつ病になると、話し方や声のトーンにも特徴的な変化が現れることがあります。
具体的には、以下のような変化が見られます。
- 声のトーンが単調になる
- 話すスピードが遅くなる
- 言葉数が少なくなる
- 会話の間に長い沈黙が生まれる
これらの変化は、うつ病による意欲の低下や思考力の低下が影響していると考えられています。ただし、個人差が大きいため、話し方の変化だけでうつ病と判断することはできません。他の症状とあわせて総合的に判断する必要があるでしょう。話し方に変化があると感じたら、専門医に相談してみることをおすすめします。
人前では明るくてもうつ病の可能性はある?
うつ病は必ずしも人前で暗い様子を見せるわけではありません。人前では明るく振る舞えていても、うつ病の可能性はあるのです。
周りに心配をかけたくない、弱い自分を見せたくないといった気持ちから、人前で明るく振る舞ってしまうこともあるでしょう。特に、職場など人間関係を維持しなければならない場面では、普段通りに振る舞おうと無理をしてしまうこともあります。
もし職場でうつ病の人がいると感じたら、一人で抱え込ませずに、専門家への相談を勧めるなどのサポートが大切です。また、職場全体でうつ病に対する理解を深め、働きやすい環境を整えることも重要です。一人ひとりが正しい知識を持ち、お互いを思いやる職場環境を作っていきましょう。
まとめ
うつ病は誰にでも起こりうる病気です。早期発見・早期治療が大切ですので、気になる症状があれば、厚生労働省の「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」などを用いてセルフチェックしてみましょう。
セルフチェックではカラダ編として食欲不振、不眠、疲労感など、ココロ編として憂うつ感、意欲低下、自信喪失などの項目があります。該当項目が多い場合は、まずはセルフケアに努めましょう。それでも改善が見られない場合は、専門医への相談をおすすめします。
みつだクリニックでは、うつ病でお悩みの方のご相談を受け付けています。一人で抱え込まず、ぜひ専門家に相談してみてください。