生理前に情緒不安定になるのはなぜ?PMS・PMDDとの関係や対処法を解説
生理前になると、普段なら気にならないことでイライラしたり、突然泣きたくなったりすることはありませんか。自分でも感情をコントロールできず、家族やパートナーに強く当たってしまい、後悔する人もいるでしょう。
生理前の情緒不安定には、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)が関係している場合があります。この記事では、生理前に情緒不安定になる理由や対処法、医療機関を受診する目安について詳しく解説します。
生理前に情緒不安定になるのはなぜ?
生理前になるとイライラや不安、気分の落ち込みなどが現れる場合は、女性ホルモンの変動が関係している可能性があります。
生理前は女性ホルモンの分泌量が大きく変化する時期であり、この変化が心身の状態に影響すると考えられています。生理前に現れる症状には個人差があり、精神的な不調だけでなく、眠気や頭痛などの身体的な不調が同時にみられることもあります。
生理前によくある精神的な症状
生理前には、イライラや気分の落ち込みをはじめ、さまざまな精神的な症状が現れることがあります。代表的な症状は以下のとおりです。
- イライラする、怒りっぽくなる
- 急に悲しくなったり涙が止まらなくなったりする
- 不安や緊張を感じる
- 気分が落ち込む
- 集中力や判断力が低下する
- 無気力になる
- 普段より音や言葉などに敏感になる
症状の現れ方には個人差があり、「普段なら気にならないことに腹が立つ」「理由もなく泣きたくなる」といった変化として感じる人もいます。
生理前によくある身体的な症状
生理前の不調は、気分や感情の変化だけではありません。身体にもさまざまな変化が現れることがあります。代表的な症状は以下のとおりです。
- 胸の張り
- 身体のだるさ
- 眠気
- 下腹部の痛み
- 食欲の増加
- 肌荒れ
- 頭痛
- 腰痛
- おなかの張り
- むくみ
症状の種類や程度は人によって異なり、同じ人でも月によって変化することがあります。
このような精神的・身体的な不調は「PMS(月経前症候群)」と呼ばれています。
PMS(月経前症候群)とは
PMS(Premenstrual Syndrome・月経前症候群)とは、生理が始まる前に現れるさまざまな精神的・身体的な不調の総称です。
PMSが起こる原因は完全には明らかになっていませんが、排卵後から生理前にかけて起こる女性ホルモンの大きな変動が関係していると考えられています。
排卵後はプロゲステロンやエストロゲンの分泌量が変化し、生理直前になるとこれらのホルモンが急激に低下します。また、この時期のホルモン変動が脳内の神経伝達物質にも影響し、イライラや抑うつ、不安などにつながると考えられています。睡眠不足や過労、ストレスなどが重なると、症状をより強く感じる場合もあります。
PMSはいつから始まる?
PMSの症状は、一般的に生理が始まる3~10日ほど前から現れ、生理が始まると軽くなったり、なくなったりするのが特徴です。
たとえば、「生理の1週間ほど前からイライラする」「毎月、生理が近づくと気分が落ち込み、生理が始まると楽になる」といった一定のパターンがみられることがあります。ただし、症状が始まる時期や続く期間には個人差があります。
生理前の情緒不安定を和らげる対処法
生理前の情緒不安定が気になる場合は、まず日常生活のなかで取り組めるセルフケアを試してみましょう。主な対処法は以下のとおりです。
- 生理周期と症状を記録する
- 十分な睡眠と休息をとる
- 食生活を整える
- ストレスを溜め込まない
- 薬を服用する
自分の症状や生活スタイルに合わせて、無理なく続けられる方法から取り入れることが大切です。それぞれの対処法について、詳しく解説します。
生理周期と症状を記録する
生理前に情緒不安定になる場合は、生理周期とその日の心身の状態を記録してみましょう。生理が始まった日だけでなく、「イライラした」「気分が落ち込んだ」「頭痛がした」「眠気が強かった」など、症状が現れた日も一緒に記録します。数カ月続けることで、「毎月生理の5日前から気分が落ち込みやすい」など、自分なりのパターンに気づきやすくなります。あらかじめ不調が起こりやすい時期を把握できれば、予定を詰め込みすぎないなどの対策もしやすくなります。
十分な睡眠と休息をとる
生理前は、できるだけ十分な睡眠時間を確保し、無理をしすぎないことも大切です。
生理前には眠気が強くなる一方で、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりする人もいます。睡眠不足が続くと、普段以上にイライラしたり、気分の落ち込みを感じたりすることもあるでしょう。できるだけ心身を休ませる時間を意識して確保してみてください。「休むことも対処法の一つ」と考え、体調に合わせて過ごしましょう。
食生活を整える
生理前の不調を和らげるためには、普段の食生活を整えることも大切です。
特に、ビタミンB6、ビタミンD・E、カルシウム、マグネシウムなどの摂取は、PMSの症状の改善に役立つ可能性があるとされています。日頃からさまざまな食品を取り入れ、必要な栄養素をバランスよく摂取することを意識しましょう。また、生理前は食欲が増したり食生活が乱れたりすることもあるため、普段から規則正しい食事を心がけることも大切です。
ストレスを溜め込まない
ストレスや疲労が重なることで、生理前の精神的な不調を強く感じることがあります。普段から自分がリラックスできる時間をつくり、心身の負担を溜め込みすぎないようにしましょう。
たとえば、好きな音楽を聴く、ゆっくり入浴する、軽く身体を動かすなど、自分に合った方法で構いません。ただし、「ストレスを溜めないようにしなければ」と意識しすぎることが、かえって負担になる場合もあります。無理に気分を切り替えようとせず、できる範囲で休息をとることも大切です。
薬を服用する
生理前の症状がつらい場合は、市販薬を利用する方法もあります。
頭痛や腹痛などの痛みには鎮痛薬が使用されるほか、生理前のイライラなどを含む心身の不調に用いられる漢方薬もあります。代表的な漢方薬として、以下が挙げられます。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
自分に適した薬は、体質や症状によって異なるため、まずは医療機関や薬剤師に相談してみましょう。
生理前の情緒不安定がひどい場合はPMDDの可能性もある
生理前のイライラや気分の落ち込みが非常に強く、日常生活に大きな影響が出ている、セルフケアを試しても症状が改善しないといった場合は、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性もあります。
PMSでも精神的な不調はみられますが、PMDDでは抑うつや不安、強い怒り、情緒不安定などの精神症状が特に目立ちます。自分だけでは対処することが難しいほどの症状がある場合は、我慢せず専門家に相談することが大切です。
PMDD(月経前不快気分障害)とは
PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder・月経前不快気分障害)とは、生理前に強い精神症状が現れ、社会生活や人間関係などに大きな支障をきたす状態です。
抑うつ気分、不安や緊張、情緒不安定、強い怒りやイライラなどが中心となり、睡眠や食欲に変化が現れる場合もあります。ただし、「生理前にイライラするからPMDD」と自分だけで判断することはできません。症状が現れる時期や程度、日常生活への影響などを踏まえて医師が診断します。
PMSとPMDDの違い
PMSとPMDDは、どちらも生理前に症状が現れ、生理が始まると軽くなる・消失する傾向がある点では共通しています。
大きな違いは、精神的な症状の強さと、日常生活への影響の程度です。
| 比較項目 | PMS | PMDD |
| 正式名称 | 月経前症候群 | 月経前不快気分障害 |
| 主な症状 | イライラ、気分の落ち込み、頭痛、腹部の張り、眠気、胸の張りなど | 強いイライラ、抑うつ気分、不安感、感情の激しい変化、集中力低下など |
| 症状の特徴 | 精神症状・身体症状の両方がみられる | 特に精神症状が強く現れる |
| 日常生活への影響 | 影響度:小〜中症状の程度によっては仕事や生活に影響する | 影響度:中〜大仕事や家事、人間関係などに大きな支障をきたすことがある |
生理前の情緒不安定で日常生活に支障をきたしている場合は、単なるPMSだと我慢せず、PMDDの可能性を考えて医療機関へ相談することが大切です。
PMDDでみられる主な症状
PMDDでは、次のような精神的な症状が強く現れることがあります。
- 強いイライラや怒りを感じる
- 不安や緊張が強くなる
- 気分が大きく落ち込む
- 突然悲しくなったり涙もろくなったりする
- 集中力が低下する
- 無気力や強い疲労感がある
- 睡眠や食欲が変化する
- 自分で感情をコントロールできないと感じる
症状が強い人では、生理前だけ普段とは別人のように感じたり、親しい人に対して攻撃的な言葉を使ってしまったりすることもあります。
生理前の情緒不安定で病院を受診する目安
生理前の情緒不安定は、程度によってはセルフケアだけで対処することが難しい場合があります。特に、以下のような状態がみられる場合は医療機関への相談を検討しましょう。
- 仕事や学校など日常生活に支障が出ている
- 家族やパートナーなど人間関係に影響が出ている
- 強い不安や気分の落ち込みがある
- 生理が始まっても症状が続いている
「生理前だから我慢するしかない」と考えず、つらいと感じている時点で専門家に相談することも選択肢の一つです。
仕事や学校など日常生活に支障が出ている
生理前の不調によって仕事や学校などに支障が出ている場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
たとえば、強い落ち込みで仕事に行けない、集中力が低下して業務を進められない、学校を休むことが増えたなどの状態です。家事や育児など、普段行っていることができなくなる場合もあります。日常生活への影響が大きくなっていると感じる場合は、無理に我慢し続けないことが大切です。
家族やパートナーなど人間関係に影響が出ている
生理前になるとイライラが強くなり、家族やパートナーに怒ってしまったり、きつい言葉をぶつけてしまったりすることがあります。その結果、生理前になるたびに家族との関係が悪化したり、意図せずパートナーを深く傷つけてしまったりする場合もあるでしょう。
このように、生理前の症状により人間関係に支障が出ている場合は、医療機関への相談を検討してみましょう。
強い不安や気分の落ち込みがある
生理前に強い不安や抑うつ気分が現れ、自分だけでは対処できないと感じる場合も受診を検討する目安です。
特に、「自分には価値がないと感じる」「何をしても楽しくない」「何もしたくない」など、普段とは明らかに異なる精神状態になる場合は、症状を我慢し続けないようにしましょう。また、「死にたい」「消えてしまいたい」と感じる場合はPMDDだけでなく、ほかの精神疾患が関係している可能性もあるため、早めに医療機関へ相談してください。
生理が始まっても症状が続いている
PMSは、生理が始まると症状が軽くなったり消失したりするのが特徴です。そのため、生理が始まっても強い気分の落ち込みや不安、無気力などが続いている場合は、PMS以外の原因も考える必要があります。
たとえば、うつ病などの精神疾患では、生理周期にかかわらず症状が続くことがあります。症状が長く続いている場合は、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。
うつ病の特徴については、以下の記事でも詳しく解説しています。
『うつ病の特徴とは?こころと身体に出る症状や睡眠障害を詳しく紹介』
生理前の情緒不安定は何科を受診する?
生理前の情緒不安定について相談する場合、症状によって婦人科、心療内科・精神科などが受診先になります。どこを受診すればよいのか迷っている場合でも、まず相談しやすい医療機関を受診し、必要に応じて適切な診療科につないでもらう方法もあります。
月経に関する症状がある場合は婦人科
情緒不安定だけでなく、生理痛や月経不順、胸の張りなど月経に関連する身体症状も気になっている場合は、婦人科への相談を検討しましょう。
婦人科では、症状や体質などに応じて生活習慣の見直しを行うほか、漢方薬や低用量ピルなどを用いて治療する場合があります。
精神的な症状が強い場合は心療内科・精神科
強いイライラや不安、気分の落ち込みなど、精神的な症状が特につらい場合は、心療内科や精神科に相談してみましょう。
「生理に関する症状は婦人科へ行くもの」と思われがちですが、精神的な不調が中心の場合は、心療内科や精神科が適しています。症状のつらさや日常生活への影響について相談できます。
心療内科・精神科での治療法
PMDDなどの強い精神症状に対しては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬が使用されることがあります。また、必要に応じて心理療法やカウンセリングを取り入れたり、睡眠や食事などの生活習慣を見直したりしながら治療を進めることもあります。
生理前の情緒不安定に悩んでいる場合はみつだクリニックへ
みつだクリニック公式サイトはこちら
生理前になると強い不安や気分の落ち込み、イライラなどが現れ、日常生活に影響している場合は、一人で抱え込まず医療機関への相談を検討しましょう。
大阪府茨木市のみつだクリニックでは、精神科・心療内科の診療を行っています。また、専門の心理師によるカウンセリングにも対応しており、生活や人間関係などの悩みについて支援を受けることも可能です。
「生理前になると気分が大きく落ち込む」「イライラや不安を自分でコントロールするのが難しい」など、精神的な不調に悩んでいる場合は、みつだクリニックへご相談ください。
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まとめ
生理前にイライラしたり、気分が落ち込んだりして情緒不安定になる場合は、PMSが関係している可能性があります。症状が特に強く、仕事や学校、人間関係など日常生活に大きな支障が出ている場合は、PMDDの可能性も考えられます。
まずは睡眠や食生活など日々の過ごし方を見直してみましょう。それでも症状が改善しない場合や、精神的なつらさが強い場合は、我慢せず医療機関へ相談することが大切です。精神症状が強い場合は、心療内科や精神科への相談も検討してみてください。